タバコ(高3)









※今回はヨハンによる下ネタが満載です。



スゥー…

口から吐き出したふわりと宙に消えていく白い煙。穏やかな屋上の風がぼんやりと昔のことを思い出させる。


「十代、身体に悪いぜ。タバコは」

「んー」

「生徒会長が校則破ってどうすんだよ」

「いいんだよ。どうせ、舞姫の為に会長になっただけだし」


そう、オレは一応この学校の生徒会長だったりする。というのも、高等部は小中との持ち上がり以外にも外部から生徒が多数編入してくるのだ。持ちあがり組では舞姫をオレが独占していることは周知の事実だ。だが、外部の奴らはそれを知らない。

どこの世界も権力者の物には触れないというのがセオリーで、それならば生徒会長になって学校を牛耳ってしまえば誰も舞姫に触らないんじゃないかという考えに至ったわけだ。

この学校の生徒会長は、選挙制ではなく、実力制ということも手伝ってオレが会長になるのはそれほど時間はかからず、一年の後期にはすでにオレは会長になることができた。

だが、それでも舞姫は可愛いのでやはり全くちょっかいを出されないわけでもない。

今しがた印刷したばかりの、ヨハンから聞いた彼女に告白して襲おうとした男子生徒への退学通知をペラりとヨハンに投げつける。
一応未遂に終わっているが、怒りは収まらない。


「うわ、えげつねぇ…停学どころか退学かよ」

「当然だろ」

「舞姫の独占もここまで来るとただのワガママじゃん」

「これ見ても…んな口が叩けんのかよ」


先ほど撮った舞姫の写メ。

首元をちょいちょいと指さしてやる。


「げ、まさかコレ」

「キスマーク。オレでさえつけたことねーっつの。つか、ここまでやれねぇ」

「はー…まぁ、ここまでやれば、退学もアリか…」

「だろ?」


また屋上の手すりによりかかって新しい煙草に火をつける。

あぁ、そう言えば、舞姫がタバコは身体に悪いから駄目だと、この間家に来た時に言っていた。もともと本人自身があまり煙草の臭いが好きではないようだった。ふとそんなことを思い出してオレは携帯灰皿に火を点けたばかりの煙草を押しつけて火を消した。


「ん、吸わねーの?」

「あぁ、舞姫が嫌がるかもしんねーから」

「今更?」

「いや、この間タバコは身体に悪いって舞姫が言ってたし、この臭い嫌がるかもしんねー」

「オレがさっき言ったのに」

「舞姫の言葉とは重みが違うんだよ」


ついでにポケットに入っていた煙草の箱もクシャリと潰した。禁煙しようか、なんて柄にもなく思った。

というか口寂しいな。


「キスしてぇ、舞姫と」

「付き合ってもねーのに言うな」

「じゃあ付き合いてー」

「無理だろ。舞姫があんなんじゃな。お前のことお前の兄ちゃんと同じに見てるぜ、あれは」

「だよな」


オレの兄、遊城二十代。彼は舞姫の憧れだ。
舞姫の憧れだからという理由で彼と同じような性格にキャラチェンジして、色々真似た。

おかげで舞姫はオレによく懐いてくれるようになったが、それと同時に恋愛対象から離れていったような気がする。

何とも複雑だ。

兄曰く、気長に待てとのことだが、そう言われてかれこれ5年以上が経っている。
だが急いで彼女に恋愛のイロハを教えるわけにもいかない。

余計な知識は彼女を混乱させる。

ゆっくりと、待つしかない。

小学校の時は手をつなぐことから。
中学になってからはハグ。

順番に段階は終えてきている。ここからいきなりキスに飛ぶようなことはないから、あとは彼女がオレを意識してくれるのを待つだけ。

我ながらかなり我慢した方だが、はてさて、これまたあと何年かかるやら。否、すぐにくると思いたい。

ポイっと煙草の箱を捨ててぼんやりと空を眺めた。

すると小さな音が周りから鳴った。

プルルルr


「あ、ワリィ。女からだ」

「お前、舞姫一筋じゃねーのかよ」

「一筋だけど?こいつはセフレ。つか十代もヤリにいかねぇ?お前なら歓迎されるぜ?」

「いかねー。オレ、舞姫以外とヤリたくない」

「お前って意外に純情だよな」

「お前は汚れきってんな」


げんなりした顔を向けてやると、ヨハンは先ほどの退学通知を持って歩き出す。おそらくそれを掲示板に張ってから女のとこに行くのだろう。

ヨハンが見えなくなってから盛大に溜息をついて空を見上げた。

セフレ、か。

オレも相当溜まってるっつーの。けど、舞姫以外の女とは絶対にやりたくない。他の女とやるくらいなら自分で慰める。

そっと下半身に手をやると、妄想のせいか自己を主張し始めていた。


あー、ちょっと待て。息子よ。ガマンしやがれ。

ここで舞姫が来てみろ。やばいだろ?


ぐっと抑えてその場にしゃがみ込んだ。

すると突然屋上のドアが開いて恐れていたことが起こった。

ドアの傍には今一番会いたくて同時に会いたくない蜂蜜色の髪の彼女。


「十代くんっ。帰ろー?」

「舞姫っ……」

「ん?どうしたの?お腹痛いの?」

「い、いや…その、」


あぁ、目が合うだけでヤバい。


この子はオレを殺す気か(性的な意味で)


fin

下ネタ満載ごめんなさい。いやだって、十代もヨハンもお年頃だしね。でも、十代君は自分の貞操かなり守ってます。好きな子としかしたくないなんて、凄い純情で良いと思います。ていうか、今日、バイト先の女の子が好きな人じゃないとどんなに上手かろうがなんだろうが満たされない的なことを言ってたので、思いついて書いてしもた。







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