「う…ん」 「舞姫、気分はどうだ?」 「十代くん……だいぶ、いいよ」 「そっか」 昨日の今日で、まだ舞姫の熱は下がらない。 どうやら大風邪をひいてしまったようで、病院に行って薬をもらってそれを飲んでからもまだ熱は下がらないまま。十代は今日も学校を休んで看病にいそしんでいたのだが、昨日は意識がほとんどなかったが今朝になって意識を回復させた舞姫は、そっと十代に手を伸ばして苦しそうだが、笑顔を浮かべた。 「何か食べるか?」 「ううん。何も…それより、ずっと、傍にいてくれたの?」 「ん…あ、あぁ……」 昨日は舞姫の母親が出張に出かけてしまったので、看病をする人間がいなかった。そのために夜も泊まり込みで看病をしていた十代。 彼女の額に浮かんだ汗を濡れタオルで拭いてやると、少しだけ苦笑して頷けば、舞姫は嬉しそうに目を細めた。 「学校は?」 「…休んだ」 「……だめ、だよ…。学校は行かなきゃ」 「平気だって。オレ、出席日数は足りてるし…成績も悪い方じゃないってしってるだろ?」 「うん…だけど」 「オレのことはいいんだよ。それよりも、舞姫は風邪を治すことだけ考えてろ」 ベッドの端に頬杖をついて、彼女の顔を眺めるように近くに座ると、十代は片方の手で舞姫の頬をなでた。 「ママは…?」 「出張だってさ。克也さんは今日帰ってくるんだろ?」 「あ、そっか…ママ…アメリカ行くって言ってたっけ…」 「心配するな。オレが傍に居るから」 十代がそう言うと舞姫は頷いて静かに目を閉じる。 「十代くん…」 「ん?」 「ありがとう」 「あぁ…」 穏やかな寝息を立てだした舞姫の顔を覗きこんで、完全に眠ったことを確認すると、そっと額と額を合わせる。 「舞姫…オレ、お前のヒーローになれてるかな」 「ずっと、お前も、お前の心も守るから。だから…」 安心していいから… 2月9日正義の味方だ! 風邪ひいたり、身体が弱ると本能的にかな、甘えたくなるものです。 |