「今なら、ほら、お化粧品に加えてトイレットペーパーと、箱ティッシュ3箱付けますよ」 「はわぁ」 ドラッグストアの一画にある化粧品売り場で、舞姫がふと足を止める。 普段化粧品などに興味のない舞姫がそんなところで足を止めたのを見て、十代は少し首を傾げる。 彼女は化粧品など使わずとも肌はきれいだし、化粧をしなくても十分愛らしい。 加えて本人も必要を感じていないようで、今までそれらを購入したことはない。とはいえ、全くなにもしていないわけではなく、代わりに彼女の母親がそう言うことには気を使って、ことあるごとに化粧水やら何やらを風呂あがりに彼女に塗りたくっていると聞いてはいる。 「何だ。舞姫、化粧すんのか?」 「…え?あー、うん?」 「いや。何でそこで疑問形?」 「えっと。トイレットペーパーと箱ティッシュ」 「そっち?」 「うん」 ぎゅっと十代の手を握ったまま、舞姫がコクコクと首を縦に振る。 どうやら彼女は、化粧品に惹かれたのではなく、トイレットペーパーと箱ティッシュに惹かれたようだ。 「舞姫、ティッシュとトイレットペーパーは普通に買った方がいいって」 「で、でも…おまけにつくって…それならお買い得だよ?」 「オマケっつっても、化粧品なんか使わないだろ?」 「うん」 「なら、買うのやめなさい。ほら、他に買うものあるだろ?行くぞ」 「あぅー…」 オマケやお買い得 舞姫にとってはすごい殺し文句のようだ 2月7日すっごい殺し文句 色恋関係の殺し文句もいいなー、なんて思ったんだけど、凡骨娘にはまだ早いかなぁと思ってこちらの殺し文句に。 |