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ひっそりとくらい森の中、私は死んでいた。私は愛するあの人に殺されたんだ。最後に私は彼の名前を呟いて事切れた。『…っ、トム』平凡な平凡なトムと言う名前を嫌っていた。私はいつもそんなことはないよと説いていたけど、トムは一切受け入れなかった。自負するようだけど、トムは私の事は特別な感情を抱いているようだった。けど、そんなことは一切なかったようだ。あっけなく私はトムから初めましてのプレゼントで死を貰ったのだ。喜びの感情と今からトムと一緒に居れないぐちゃぐちゃの感情のまま私は逝ってしまった。けど、私はゴーストとしてこの世に留まる事を決意したの。自分の亡骸を空中から見下ろす。

『あれ?私ってこんなに太ってたかしら?』

彼は私の亡骸を大事そうに抱えたようだ。私はふよふよと彼の跡をついていく。トムの頭上から見下ろす風景はなんだなとても変な感じだ。顔が見えないからやっぱり私はトムの横を歩きたいな。けど、今はトムの顔を見るのは少しばかり怖い。半年という短い間だったけどトムと住んでいた暗い屋敷が見えてくる。屋敷には強い結界が張ってありトムが通り抜けるのと一緒に中に入る。トムは 私の部屋であった一室に私をゆっくりと寝かせた。

ねぇ、トム私はあなたのためになにか出来たのかな?あなたの不安や痛みを少しでも和らげたのかな?あなたの中に私はまだいるのかな。

トムは私に愛の言葉は囁いてくれたことは無かった。対抗してたわけじゃないけど、その代わりに私は執拗いくらいにトムに愛を囁いた。トムはいつも笑ってくれて時には無反応だったけど、私は幸せだった。ホグワーツ卒業とともにきっと私の幸せな記憶はトムによって消されて普通に死んでいくんだなって思ってた。けど、トムは「ついてくきてくれ」って言ってくれて私はそのプロポーズとも取れる言葉に泣きながら二つ返事をした。なんでトムが私を殺したのかは全くわからない。だって昨日までは幸せでいつもの日常で。私が幸せボケしてたからトムの些細な事に気づかなかったのかな?ゴーストになると時間と言う概念がなくなるのか私が死んだのは先程の事だけど今はもう随分と前のような気がする。トムはいつまでたっても私の亡骸の元を離れようとはしない。少し近づくと彼は小さく小さく泣いていた。嗚咽が聞こえる。トムが肩を震わせてる。私は彼の肩にそっと手を置いた。少しだけ彼が泣き止んだ気がした。

20201005
何が書きたかったのだろう