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わたしたちは長く居すぎたのかもしれない。丸井ブン太と出会ったのは中学の入学式。遅刻気味でコンビニで急いで買ったのは、いつも噛んでるガムではなくて、グリーンアップル味のガム。うわー、うまいのかなこれ。仕方なくくちゃくちゃしながら、走る。教室に入ると皆がやがやとしている。仕方なく空いてる席に座ると「なぁ、お前ガム持ってるだろ。」って後ろから話しかけてくる。くるりと振り向くと赤髪のどっちかというも可愛い感じの男の子が私を見つめていた。「間違えて買ったのだから、全部あげる」ポケットから、残り丸まる上げると「うっわ!これ俺の好きなガムじゃん!」と大声をあげ、さんきゅーな!っと笑顔で言われてた。その時多分私は一目惚れしてたんだと思う。けど、それは向こうも同じで、付き合ったあとにそう聞かされた。けど、もう付き合って8年。長い。長い時間を丸井ブン太と歩んできた。けど、最近はすれ違い気味で…。そして昨日「別れてくれねぇか。」と言われてた。「わかった。」っと感情を押し殺し無機質な声をだす。「お前ってこんなときまで何も思わないんだな。」思わないんじゃなくて、隠してるだけだよ。ブン太はいつだってそうだった。私のことをわかっちゃない。8年も一緒にいて私の中身なんて見ようともしなかった。けど、いつまでもいじいじしていられない。8年間伸ばしてた髪をばっさり切ると決めたんだ。美容師さんは「今日はどうなさいますか?」と聞かれたので「肩までばっさりとお願いします」というと目を見開いて驚かれた。まぁ、そうだよね。太ももまであるもん。今の私の髪の毛は。やっとカットも終わり、シャンプーしますね。と顔の上にタオルを乗せられる。シャワーの音に背中がびくっ!となる。我慢しているとシュコシュコとシャンプーをプッシュするおとが聞こえてきた。なんで、他人に髪の毛を洗われると気持ちがいいんだろう。すると、ふわりとブン太の匂いが私を支配する。「このシャンプー、グリーンアップル系の匂いなんですよ。最近人気なんです!」私はそれに返事を返せないくらい唇を噛み締めて泣いていた。結局私はさよならできないのね。


20151222