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随分前に少女は眠りについてある夢をみたのです。



目の前にはまるで眠り姫のようにすやすやと眠る少女がいる。硝子の蓋を被っている彼女はまるでなんの汚れも知らない。無垢で無知の様に見えた。ここは禁断の森。それもホグワーツからかなり離れた場所だ。校長はこの少女を何故か酷く優しい顔をして眺めている。


「のぅ、セブルス。この少女はただの被害者なのだ。」

「…誰の被害者ですかな?」

「ホグワーツの。いや、わしらの被害者かもしれん。セブルス、時というのは酷く残酷なものじゃ。魔法でいくら眠らせようと目を覚ました時には眠る前の記憶が残っておる。こやつを起こすことは出来ようとも起きた後の彼女を助け出せるやつなんぞいないのじゃ。」

「それをなぜ吾輩に?」

「わしは1週間ばかしホグワーツには戻らぬ。すこし用事があるのじゃ。そのあいだに彼女の様子を見ていてくれんかの。」

少女に目を向けるとさっきとはなんの変わりもなくただ横になってるだけだった。

「校長はどちらへ向かわれるのですかな?」

「ハリーポッターを、マグルの所へ引渡しに行かなければいけんのじゃ。」

ハリーポッターと聞くと自分で言うのもなんだか眉間に一層シワがよる。リリーの、子供。

「それじゃ、いってくるかの。よいか、セブルス。くれぐれも誰もなんびとたりとも近づけてはならん。これは君だから頼めることなのじゃ。」

バチンと音ともに校長の姿が消える。はぁとため息をつくと少女に目をやる。この少女に温もりはあるのだろうか。彼女は何歳なのだろうか。いつから寝ているのだろうか。なんの、理由でねせられてるのだろうか。それにこの家はなんなのだろうか。部屋には寝ている少女と本棚と小さめのテーブルしかない。テーブルの上には日記があった。決してのぞいたわけではない。ただ、テーブルの上に開いていたのだ。





今日はトムとたくさん遊んだ。
けど、トムは私にこういうの。
「馬鹿だな。ほんとに馬鹿。」
それを見てエイブリーが笑うの。
エイブリーとトム。
ずっと私たち3人は一緒なの。




なんだ。これは。
まずはトムとエイブリーとは…?
次のページをペラりとめくると



今日はエイブリーと2人で
オリオンの髪の毛を燃やしたよ!
ふふ!あれだと多分子孫も
全員禿げるよ!
そーゆー呪いをかけておいたから!
けど、そのことがあって、何故か
ヴァルブルガから睨みがひどい。
私、何もひどいことしてないのに。
そういえばトムがまたダンブルドアの
悪口言ってた。あー、こうなると
ずっとトムは不機嫌なんだ。


明日からO.W.Lが始まる。
さて、今回はどこに逃げとこうかな?
いつもはトムに見つかって
怒られるけど、前回はトムの部屋に
隠れてたら灯台もと暗しといって
結局見つかることはなかった!
けど、ばったりとトムとあった後に
トムの紅い目がひかったのは
だれにも内緒


そんな他愛もないことがたくさんかいてあって、ページをペラペラとめくると途中で終わっていた。その最後のページをみると、


私は決してトムを忘れない


で終わっていた。パタンと閉じるとその日記は黒色で女の子が使うにはなんだかおかしいノートだった。それにこの少女を見ていろと言われてもなにをしたらいいのか分からない。ほんとになにをしたらいいんだ。

『と、む…』

凛とした声に振り向くとそこにはむにゃむにゃと口を動かし寝相が悪くなっている少女がいた。ど、どうしたらいいのだ!

『と、む…』

トム、トムと繰り返すそいつは、顔をのぞくと涙がまくらに吸い込まれていた。なぜかいたたまれなくり私はホグワーツに踵をかえすのだった。



20150829