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消失する思い






「次に名前をいじめたらまじで許さないからな!」

名前は俺の幼なじみで生まれた時から病院は一緒で、家は隣同士で両親が仲がいい事からなにからなにまで一緒だった。ただ名前は物心着く前から少し抜けている感じで第三者から言わせれば、放っておけないというタイプだ。そんな名前をからかう同級生も沢山いた。小さい頃から親父から名前ちゃんを守ってあげるんだよ。と言い聞かされ育てられた俺は常に名前は俺が守らねばの信条の元、行動していた。名前に嫌がらせをしているやつを見つけてはボコボコにして、いつからか俺は野蛮人の札を付けられ友人という友人は居なかった。けど、名前が俺を必要しとしてくれるだけで良かったんだ。ただそれだけで。ある日いつも通りに名前の家に足を運ぶと名前の両親は名前を抱きしめ嬉しそうに泣いていた。泣いてるおばさん達にギョッとし、近づくとおじさんは「名前は、魔法使いなんだ!」と喜んでいる。テーブルの上にある手紙を取り目を通すとホグワーツ魔法魔術学校と書いてある。嘘だろ。しかも全寮制!?「おばさん、こんなわけも分からないところに名前を行かせんの!?」と言うと俺の言葉はあまり届いていないらしくあれよこれよと娘を愛でいた。名前はそこはかとなく嬉しそうだ。名前は幼い頃からあまり感情を表情に出さない。名前の両親すらたまに分からない時がある。そんな時、俺は名前の心情を読み取って翻訳代わりとなりおばさん達に伝えるのだ。ただ今回はその翻訳係は要らないみたいだけど。しかし鍋とかペットとか本当に必要なのか?本やテレビで見る魔女そのまんまじゃん。名前があどけない顔で不気味に笑いながら大鍋をかき回す姿はどんなに頑張ってもイメージは出来なかった。

今日名前たちは買い物に行くと言っていた。暇な俺は自身の部屋から名前の家をまだ帰ってこないのかとそわそわしながら待っていた。やっと車の音が聞こえ窓から見下ろすとそんなに大きくない鍋や大量の本。そして何故か蛇がいた。蛇嫌いな俺はゾッとする体を擦りながら名前に会いに行くのだった。


話を聞くとどうやら全寮制で7年間ホグワーツで学ぶらしい。ただクリスマスホリデー、イースターホリデー、サマーホリデーなどの休暇は実家に帰れるらしい。1年にこれだけ帰って来るんだ。別にそんなに会えない訳じゃない。俺はふぅとため息をはいた。名前が買ってきたトランクはもう名前が丸ごと入りそうなとても大きいトランクだ。名前なら持ち上がらないなと想像して笑いを吐き出した。それからはあっという間で名前が出発するのが明日へとなった。俺は名前の部屋に足を入れると名前は何も無い壁を見て1人で話していた。

「名前、誰と話してるんだ」

『妖精よ。けど妖精は誰とは言わないわ。明日、妖精の集まりがあるんだって。けど爪が足りないらしいの。だからあげてたの。』

まさか、生爪剥いだのか!?と名前の手に目をやるとただ5本あるうちの一つだけ爪先が短くなっているだけだった。安堵のため息をつくと、名前は窓をあけ『バイバイ、妖精さん。また必要なら言ってね』と窓を閉めた。

「明日、行くんだな。」

『そうね、会えなくなるのは寂しい。けどホグワーツに行けることに少しワクワクしてるの。』

「…俺はずっと待ってるから。」

『そろそろ広い世界でも見てきたら?あなたにはここは狭すぎるでしょ。』

「名前…。お前は昔から何をやるにも上手くできた試しがないし、人よりも歩くのが遅いし、喋るのも人一倍遅い。そんな遠いところに行ったらもう俺、守ってやれないんだぞ。いいのか?」

『……ありがとう。けど、大丈夫な気がするのよ。きっと。』

名前は不安なんてないと言う目で俺を見ると『大丈夫。私は大丈夫。』と目を瞑り寝に入ったらしい。俺はそっと部屋から出るとおばさん達に「名前寝たから帰る」と言い家に帰った。
名前がホグワーツに行って1年がたった。何故か名前はクリスマス休暇にしか帰ってこなかった。けど、それだけでも会える喜びは凄まじかった。名前は俺に色々なことを教えてくれた。魔法界のお菓子は胃の中で跳ねるのよとか、魔法界の人たちはこっちの世界の人よりも寿命がながいの。どの本当に魔法なんてあるのかとびっくりしたものだ。それからあっという間に名前は7年間の学校生活を終えて帰ってきた。名前を乗せたバスが止まり、そこには1人の男が降りてきた。そいつは名前に手を差し出し名前はそれを当たり前のように手を乗せバスから降りた。俺は無我夢中で名前の元へ走り「名前!誰なんだよ!そいつ!」と叫ぶと、男は名前に「これかい?名前が言ってた…」『えぇ、そうなの。ごめんね。トム。あとは頼んでいいかしら。』と言うと名前は近づいてきた。『久しぶりね。待っててくれてありがとう。彼はトム・リドルと言うの。少し彼と話をしてみて。私は…その、家に入ってるわ』と名前はそそくさと遅い足で玄関を跨いだ。

「なんだよ、」

「初めまして、僕はトム・リドル。君は」

「名前を教える義理はねぇ。」

「そう、まぁいいさ。そろそろ成仏しなよ。いつまでもこの世に未練たらたらなわけ。」

「…っは、お前なにいって」

「名前からさ、相談があったんだ。幼少期から幼なじみのゴーストがずっと家にいるって。どうにか成仏して欲しいって」

「そ、んなばかな。」

「現に今君の姿を見れるのは魔力がある者のみだ。名前の両親は君を見えてない。」

「………俺はっ、」

「あと、君。悪霊になりかけてる。早く成仏しないといつか名前を傷つけるよ。名前には傷ついて欲しくないだ。無理にでも消えてもらう。」