×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



01


終業チャイムを背景に見慣れたいつも通りの帰路を歩いた。不自然な程の道の真ん中にあるまあるい黒い穴があった。じりじりと近づいてみて中を覗くとゆらりゆらりと揺れる水の中に暗くて古びた館がうつしだされた。手を伸ばすとちゃぽんと水が揺れる。手を引き出すと水に触っていたのにも関わらず濡れてもいない。なんとも不思議だ。ちゃぽんと体ごと入るつもりはなかったけど、なぜかつるりと滑ってしまったのだ。上を見ると丸い穴に青空。あー、落ちたのか。全然苦しくない。むしろなぜか居心地がいい。不思議な感覚だ。下の方には先ほどみえた館が今でもゆらりと揺れている。そこに向かおうと決意し泳いでいく。一向にたどりつかない。イライラしてきた。あー、紅茶が飲みたいな。ほっとしたいからミルクティがいいな。気づいたら私は水の中のどこからか現れたか知らない椅子に座っていてテーブルに湯気がでている紅茶があった。口をつけるとあったかくて美味しい。クッキーがあったら最高なのに。カップから口を離すとそこにはクッキーがあった。それはサクサクと啄みながら紅茶を啜る。おいしー!幸せ。紅茶を飲み終わる頃にはなぜか館が近くになった気がした。気を取り直してまたそこまで泳ぐ。何故か今だとすごく早く感じる。館の近くにくると館はシャボン玉に包まれたかのようにふんわりと浮いている。シャボン玉に触れるとぱちん!っと弾けてしまった。そこから記憶はない。


うっすらと目を開けるしんとしたシンプルなデザインのベッドの上にいた。ベッドから降り、天窓の下までくるも天窓から見る空はどんよりとした暗い空だった。窓に近づけば庭も荒れ放題で草花は枯渇してしまっている。というかここはどこなのだろう。多分あの館ってことはわかるんだけど。落ち着くために紅茶と頭に思い浮かべると目の前に静かにテーブルが。その上には紅茶が。あぁ、忘れてた。クッキーも。紅茶を飲みながら部屋を見渡す。本棚にベットにキッチンにトイレに風呂。おまけに食器棚まである。あー、こういう部屋に住みたかったんだよね。カジュアルっていうかシンプルっていうかとにかくそういう感じの部屋。この部屋は私の好みにどストライク。ここに住みたい…。でもいつまでもこうしては居れない。敢えてわざとスルーしていた扉を開ける。扉の向こうは黒で統一された寝室のようだった。ただ本が山積み。シーツもみだれている。けど、床はふっかふかのラグが引き詰められてて靴を脱いでしまった。丁寧に靴下まで脱いで歩き回る。指の間にふわふわのラグが侵入してきて気持ちがいい。けど、寝室にしてはデカすぎる。ベッドも私が5人は寝れそうなくらいとっても広い。おー、なんかアメリカっぽい。ベッドには枕の代わりに少し大きめのクッションがたくさん置いてある。またしても部屋の奥にはトびらがあり、ドアノブをひねる。次の部屋は寝室よりも大きいへやだった。部屋の真ん中にソファがあり片隅にテーブルがあった。テーブルの上は書類やらなんやらでめちゃくちゃだ。んー、これからどうしたいいものか。二つ目の部屋に戻り大きいベッドに体を預け考える。だめだどうしたらいいか分かんないよ。そうこうしているうちに寝てしまった。


20160221