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02




私の名前は名前。両親が殺されて今は叔母様の家に居候してるの。大事な幼なじみのトムとも離れ離れになってしまって本当はもう泣きそうになる。私に部屋なんて与えられてないし、従姉妹のメイベルは意地悪ばかりしてくる。けど、トムが手紙に書いてた文字を思い出すと頑張ろうって気になる。早くホグワーツに行きたい。最近ではやたらと梟が家の周りを飛んでいる。それにしても、この量は異常だ。どこの部屋の窓から見ても梟、梟、梟。叔父様と叔母様はずっとポストを塞いだり私の目の前で、ホグワーツからの手紙を破って燃やしたりといろいろ酷い。けど、トムからの手紙はいつも、真夜中に来るのが決まってる。その日も梟におやつを、あげてベットとは言えないベットに腰掛けながら手紙を開く。そこには、ホグワーツからの手紙も同封されていた。やっ、とこの時がきたんだ!わくわくしながら封を開けると準備するものがたくさん書いてあった。けど、私こんな物を買うお金なんてない。ほんとに私はホグワーツに行けるのだろうか。じわりと涙が出てくるのが分かる。だってホグワーツに行けないのならトムに会えない。もやもやするけど、トムの手紙読まなきゃ…。カサカサと手紙を開くと


やぁ、僕の名前。元気かい?そちらのくそじじいとくそばばあは相変わらずかい?
僕がいたら、そんなやつら…
それよりも、今日は大事な話があるんだ。もう見ただろうけどホグワーツに行くには教科書や制服に杖に鍋にとにかくいろいろなものが必要なんだ。どーせ、名前のことだから、お金がとか考えて涙を流しているんだろう?でも、安心しなよ。僕の両親が実は名前の何かあった時のためにグリンゴッツの鍵をあずかってるらしいんだ。だから、名前のお金はなんとかなりそうだ。足りなくても僕の親が私の娘なんだからと支援する気だから、名前はなにも心配しなくとも大丈夫だよ。明日の朝10時にロンドンの漏れ鍋っていう店で名前を待ってる。無事にこれるといいんだけど。あ!ちなみにもうそこには帰ってこないと思うから大事なものは持ってくるんだよ。
T.M.R


手紙をベットに雑におくと小さな物置小屋からトムと一緒に写ってる写真などをそこらへんにあった古くボロボロのカバンにしまった。意外と物が少なくて良かった。けど、明日は土曜日だ。叔父様や叔母様はずっと家にいる。明日は抜け出す暇がないかも。うーんと考えて抜け出すのは今しかない。とすぐに行動に移した。

玄関の扉はギィと音がいうのでテラスからゆっくりと扉を開けて庭に出る。いつものなら踏みつける草の音など気にもしないのだけれど、今はやたらと大きな大げさな音に聞こえる。うまく道路にでれてホットする。後ろを振り返れば今までいた家だけどぞわりと悪寒が走る。もう、こんなところにこなくていいんだ。一礼をして、1歩を踏み出す。早くロンドンに行かなきゃ。トムが私を待ってる。



もう
迷うことなんて
なにもない。



20150824