運命を駆け抜けて



「はあッ!!」





思いっきり剣を振り下ろす。
綺麗に入った一撃。

その瞬間、戦っていた目の前の特化されたフィーラーが消えた。

振り向くと、他にいたもう2体の姿も一緒に消えていた。





「うっ!」





終わったと安堵しかけた時、突風が吹いた。
身体が吹っ飛ばされる程のとんでもない威力。

あたしはその力に負けて、ドサッと倒れこんだ。

でもそれは皆も同じ。
クラウドもバレットもティファも。

だけどそこでそのまま倒れているわけにはいかない。

突風は一瞬。
でも今度は足場が、崩れてきてる…!?





「おいおい、マジかよ」

「走れ!」





クラウドの声に弾かれるように、全員立ち上がって急いで走り出す。





「今は逃げろ!」





バレットがこっちだと道を示すように叫んだ。

トンネル状になった坂道。
そんな足場を、あたしたちは全力で駆け上がる。





「っ、クラウド!」

「止まるな!」





あたしは後ろを振り返った。

さっきの突風。
クラウドは運悪くかなり後方まで飛ばされてしまった。

足場、下の方からなくなっていく。

クラウドはとにかく走れとあたしに叫ぶ。
あたしは頷き、全速力で走った。





「まずいぞ!おい!走れ走れ走れ走れ走れ!」





バレットの声で余計焦るわ!!
いやでもマジでやばいやばいやばい!!

ガラガラとトンネルが崩れていく。

早く早く早く!!!

踏み込んで、一気に飛ぶ。
そうして崩れる足場を逃れた瞬間、あたしはバッと後ろに振り返った。





「クラウド!!」





お願いクラウド間に合って!!

駆けてくるクラウド。
でも足場はどんどん崩れて、迫って…。

クラウドが足を乗せた場所が落ちていく。

咄嗟にクラウドは手を伸ばす。

あたしも伸ばした。
傍にいたティファも一緒に。

ふたりでグッとクラウドの手を掴む。

でも…。





「う、ぐ…っ!」

「うっ…!」





ぐんっ…と、とんでもない重力が腕に掛かった。

いっ…。
でも、絶対…離すかッ!!!

千切れそうになったって、絶対にこの手を離すわけにはいかない。

その時、もうひとつ力強い腕がクラウドの手首の辺りをガッと掴んだ。





「バレット!」

「おらっ、引け!」

「いくよっ…!」





3人で頷き合い、一気に力を合わせてクラウドの体を引き上げる。

そうして何とかクラウドも足場を得た。
はあ…っと、安堵の息が漏れる。

でも、またそこでうかうかもしていられない。

4人で先を見れば、そこにはさっき消えたはずの3体の特化型のフィーラーが再び姿を現していた。





「またあいつら!」





ああもう!うんざりするな!!

でも、迎え撃つしかない。
だからあたしたちは武器を構えて走り出す。

そうしてまたあいつらとの再戦が始まった。





「クラウド!」

「ああ!」





いくらか削った末、隙を作って、あたしは彼を呼ぶ。
すると意図を察したクラウドは剣を振るい、破晄撃を放った。

それは見事にフィーラーに命中する。

だけどその時、見上げるほど大きな大きな…親玉の方のフィーラーが腕をこちらに振り下ろしてきた。

直撃はしない。
ただ、足場がグラッと大きく揺れて…。





「まずい!」

「逃げるしかねえのか!」





ティファとバレットが叫ぶ。
バレットは道を塞いでいた瓦礫に銃を撃ち、崩して道を作ってくれた。

あたしたちは再び、全速力で駆け出す。

その際、親玉がまた腕を振り下ろしてきて、道がまたぐしゃりと崩れた。





「うええ!?ここ行くの!?」

「ナマエ、掴まれ」

「へっ!?ひゃわ!?」





崩れた先。
そこは急斜面の道路だった。

直角ではないけど、これはちょっとビビると言うか!?

でもそうして足がすくんだ時。
後ろからガッと肩を抱かれて、そのままそこにダイブした。

クラウドー!?!?





「ひい!クラウド瓦礫!瓦礫ー!!」






ぐっと支えてくれるクラウドの手。
あたしはひいいいってなりながら必死になってクラウドにしがみついていた。

いやとんでも急斜面滑り台!!
しかも瓦礫が上から降ってくるとか!!

おっかねえわ馬鹿あああああ!?!?!?

血の気が引く。
いやもう寿命縮んでますよね!?

それでもなんとか下り切る。
平らな地面に足が付いた。





「ティファ!」

「ナマエ!」





あたしは滑ってくるティファに手を伸ばし、彼女を支えた。
その傍でバレットもズデッと落ちて来る。

う…ちょっと痛そう…。

でも、そこにはまた待ち構えている。
さっき戦った、特化型フィーラーたち。





「ああもう!何連戦だっての!!」





また、剣を構える。

走って逃げて、戦って。
本当、息つく暇もない。

でも、未来を諦める気なんてないから。

あたしたちはまた、フィーラーに向かって駆け出した。




To be continued

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