新社長との戦い



「はあッ!」

「ほう、腕が立つな」

「そりゃどうも!」





ルーファウス神羅とのバトル。

ちょっと踏み込みが甘かったか。
銃を狙って剣を振るうと、ルーファウスはあたしを見て薄く笑った。

その隙にとクラウドが斬りかかろうとすると、今度はダークネイションが飛んできた。

…あのワンちゃん、結構厄介だな。

ルーファウス自身もかなり強い。
お坊ちゃんだろうって少し舐めていたかもしれない。

とりあえずダークネイションと引き離した方がいいな…。





『こちら管制室。敵機確認。迎撃を頼む』





その時、声が聞こえてきた。
多分屋上のどこかにあるスピーカーだろう。

そんな指令を聞けば、さっき銃撃であたしたちの邪魔をしたヘリがどこかへ飛んでいく。

それを見たクラウドはルーファウスを睨んだ。





「俺たちを舐めているのか?」

「まさか。ギリギリだ。だが、これがいい」





腹の中が食えない発言をするルーファウス。
まるで戦いを楽しんでいるみたいな。

そして彼はポケットからコインを2枚取り出すと、宙へと放り投げた。

いきなり何を…。
そう思った直後、ルーファウスは銃でそのコインを撃った。





「なっ!」

「ひえ!?」





その攻撃はまるでレーザーのようだった。
クラウドとあたしは間一髪でそれを避ける。

背後でドンッ!!ととんでもない衝撃が響いた。

って、なんだあれ!!





「なに!あのコイン!なに!?」

「神羅のオモチャか」

「喜べ。遊んでやる」

「いや全っ然喜べないですが!!?」





ありえないブツにあたしは思わずギャーギャー叫ぶ。
でも多分それはルーファウスを喜ばせてるだけっぽいから何とか黙る努力をする。

ていうかとにかくルーファウスとダークネイションを離さないと!!

変なオモチャが加わったところですべきことはやっぱりそれだろう。

引き剥がしたらあたしが抑えてクラウドにルーファウスの相手をしてもらうのが最適かな。
それを伝えるべく、あたしはクラウドの傍に身を寄せた。





「クラウド、とりあえずあのワンちゃん引き剥がそ。そしたらあたしがワンちゃん抑えるから」

「俺がルーファウスだな」

「さっすが。そっちに手出しはさせないから。任せて」

「了解だ」





クラウドは話が早くて助かる。
やろうって考える事、すぐに理解してくれるもんね。

そうと決まれば善は急げ。

あたしたちはルーファウスとダークネイションを離すことにまず集中した。





「おっとッ!」





ダークネイションがこちらに飛び掛かってきた。
あたしは剣を盾代わりにし、それを食い止める。

ルーファウスとダークネイションは光の鎖で繋がれている。

だからそれを断ち切ってしまえばいい。





「そこだッ!」





あたしがダークネイションを抑えているその隙に、クラウドは光の鎖に向かって剣を振り下ろした。
その一撃で見事鎖は断ち切れる。

よし!

鎖の張りを失い、ダークネイションの体はこちらになだれ込む。
でもあたしはそれをいなし、ドサッとダークネイションの体は落ちた。

あとはあたしがこいつを倒す!

そうして剣を構えると、クラウドはルーファウスと向き合っていた。





「今度こそふたりきりだな」





さっきのルーファウスの言葉に返すようにクラウドは言った。
それに対しルーファウスは薄く笑い…。





「忘れられない夜にしてやろう」





ブハッ…!!
そのやりとりにつんのめりそうになった。

っなんっだその返し!!!

なんかさっきから言葉選びがこう…なんかこう…!

てかなんでそんな戦いの場に色気みたいなの醸してんのあの人たち!!





「ようやく本気か?」

「光栄に思うんだな」





銃の音。
それを剣で防ぎ、弾く音。

クラウドとルーファウスの戦いは激しさを増した。

けど、そっちに気を取られてはいられない。
あたしは目の前の獣を倒さなければ。





「悪いけど、ご主人の元には行かせないからっ」





剣先をチャキリと向ける。
グルルル…と牙を出して唸ってる。





「はああッ!」





あたしはマテリアを発動させながら、飛び掛かってくるダークネイションを迎え撃った。

よく鍛えられたワンちゃんだった。
そんじょそこらのモンスターなんかよりは全然強い。

でもそう簡単にやられるナマエちゃんじゃなくってよ!

七番街スラムで一番かもなんて言われるくらいの腕前は持ってるのさ。





「うおりゃ!」





隙をつき、大きく決めた一撃。
それでダークネイションはぐらりとふらついた。

よし、いける!

そう思った時、牙をむいていたダークネイションが身を引いた。

え…、と振り返ればどうやらルーファウスが引けと指示を出したらしい。

向こうも勝負あり。

ルーファウスの手には、銃が握られていなかった。
クラウドが弾き飛ばしたようだ。





「神羅を潰すチャンスらしい」





屋上の端。
クラウドがルーファウスを追い詰めていた。





「勘違いするなよ」





だけどルーファウスは不敵に笑った。

それは、負け惜しみ…?

いや、ちょっと引っ掛かってた。
だってそれなら、味方であるダークネイションを引かせるのはおかしい。

するとその瞬間、ヘリがルーファウスの背後に現れた。





「神羅は生まれ変わる。私の手で」

「あっ…!」





彼はそう言い残す。

ヘリの扉は開いていた。
ルーファウスはその淵に手を掛けると、そのまま宙に飛び上がる。

…逃げられた。

しかもヘリは方向転換し、クラウドに向かって銃撃してきた。





「っ…!」

「なっ!?」





咄嗟に剣を盾にし銃撃を防ぐクラウド。
あたしはヘリの銃口に向かい魔法を放った。

多分ヘリでこのまま戦う気はないのだろう。
その一撃でヘリはその場から去っていく。

でも、その時…。





「ぐっ…!」





屋上の端は金網になっていていた。
それは銃撃により金具が外れ、クラウドから足場を奪う。

嘘ッ…!!





「クラウドッ!!!」





心臓がドクンと痛いほど波打つ。
あたしは駆け出し、急いで端に向かった。



To be continued

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