アーロン

「アーロンさんって恋人とかいるんですか?」





野宿の見張り番。
パチパチと鳴る焚き火を見ながら、何気なく尋ねた。





「何故そんなことを聞く」





するとそう聞き返された。

まあ、そんなすんなりと答えてくれるとは思わなかったけど。





「んー、だって伝説のガードの恋人ですよ。気になるじゃないですか」

「…どうだかな」





ん?少しご機嫌を損ねたか。

伝説のガード。
それはスピラ中の羨望の的。
…なのにも関わらず、当の本人さんはその呼び方をあまり気に入ってはいないようだ。





「んー。でもそんな大層な肩書き持ってると憧れと同時に萎縮しちゃったりするものかな」

「…恋人などおらん。いらん心配だ」





ふん、と息をつきながらアーロンさんは言った。
ちょっとビックリ。





「あれれ、結構あっさり教えてくれましたね。粘る覚悟してたのに」

「そうだろうと思ったから答えたんだ。お前はしつこい」

「えへ」





よーくわかってますねえ。
うふふ、と笑う。

でもすぐに、私はその笑みの質を変えた。
こういうのも、結構得意なんですよ?

つかみ所のない笑み。





「なら、私なんてどうですか?」

「…どういう意味だ」

「まんまですよ?ちなみに、結構マジです」

「……。」





ニコッと微笑む。





「…萎縮するんじゃないのか」

「私がすると思います?」

「…。」

「前に私に肝が据わっている、と言ったのはアーロンさんです」





ゆる…、と貴方の首に腕を回す。





「自分で言うのも難ですが…、結構お似合いだと思いませんか?」





そっと、耳元に口を寄せた。



END


アダルティー(?)な雰囲気目指して挫折。(泣)

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