スコール

無口で、クール。

きりっとした整った顔立ち。

誰もが認める戦闘センス。

そんな彼の名はスコール。
バラムガーデンの中では結構な有名人。

男女ともに、彼に憧れを抱いている人は結構いるって話だ。





「おい、あんた」





ある日、私はぷらぷら〜…とバラムガーデンの廊下を歩いていた。

ああああ…早く炎の洞窟の試練受けなくちゃー…。
…あの人なら、きっと楽勝なんだろうなあ…とか、ぼんやりと考えながら。

すると後ろから肩を叩かれ声をかけられた。





「はい?」





何気なく振り向いて、ギョッとした。

何故って、そこには…たった今頭に浮かべていた、あのスコール・レオンハートが居たからだ。





「これ、落としたぞ」

「え?あ!」





彼が差し出してきたのは、今朝ポケットにしまった私のハンカチ。





「あ、ありがとう…!」

「ああ」





私にハンカチを手渡すと、彼は私を通り過ぎて歩いていった。

一方、私は呆然としてその場に立ち尽くしていた。



う…わああああっ…!
そして、心の中で、そう叫んでいた。


だって私も、そうなのだ。
私も彼に憧れを抱いているひとり…だったから。

ちゃんと御礼の言葉を口に出来たことが奇跡に近い。


遠くから見つめるだけでいい。
だって彼、人と接するの好きじゃないみたいだし。

…なんて言うのはただの言い訳。


本当は、臆病で話しかけられないだけ。

でも、遠くで見つめてるだけで幸せ。だからいいんです。
私はそれだけで満足していた。


なのに…たった今、何が起こったの…!?

きゅううう…とハンカチを握り締める。

このハンカチ…もう洗えない…。
一瞬にして、宝物に変わってしまった。





「…あ」





そしてふと、肩を叩かれたことも思い出す。

かああ…と頬が熱くなった。

どうしよう、このパーカーも洗えなくなっちゃった…。


なんかもう、くらくらした。


END


学園がやりやすそうな案だったので。初スコ。

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