バッツ
うーん、いい人だけど。
女の子の多い旅の仲間たち。
私が好きな人の話をしたら、返ってきたのはそんな反応ばかりだった。
…いや、ファリスに至っては「はー?」って言われた。
なんで、どうして。
格好いいじゃない、バッツ。
いやでも、これはつまりライバルがいないということ?
全力でアタックしてもいいということ?
それなら思い切りやってみようじゃないか…!
気持ちが前を向いている時。
そういう時は突き進むに限る!
「バッツ!私、バッツの事が好き!」
「はっ…!?」
「だから、これからアタックしていくからよろしくね!おやすみ!!」
「えっ、ちょっ」
そう宣言してきたのが昨日の夜の話。
二部屋取れてバッツだけ別部屋だったから、押しかけて、それだけ言って戻ってきた。
部屋の前だったからファリスに目撃されていたらしく「なにやってんだお前」ってなんかちょっと変な目で見られたけど気にしないもん!
とにかく、今の私は頑張るぞって気持ちに満ち溢れている。
迎えた朝、ロビーに出るとバッツが街の様子を見に行くのか外に出ようとしているところだった。
「バッツ、街に行くの?」
「ん?ああ、そろそろ店も開くころだし、少し見てこようかと…」
「私も一緒に行きたいっ!!!」
「ん!?おお!?どうしたどうした!??」
ずいずいっと近づいた。
そしたら驚かれて、落ち着け落ち着けみたいになだめられた。
「昨日も変だったよな?どうした本当?」
「変じゃないよ…。昨日言ったでしょ、アタックするよって。だから一緒に行きたいの」
「いや一緒に行くのは全然構わないけど…。まずそのアタックってのが…」
「私、バッツのこと好きなの」
「う、うん…。やっぱそう言ってたんだよな…。改めて言われると照れるな…」
「…もしかして伝わってなかったの…!?」
「いや、凄い勢いだったから。しかもそれだけ言って逃げただろ」
「逃げたっていうか、宣言が目的だったから」
「俺の返事も聞かないで」
「?、返事、OKもらうためにこれから頑張るんだよ」
首を傾げる。
そう、これからいっぱい好きになってもらえる努力をして、振り向いてもらう。
昨日したのはそう言う宣言だ。
「どうして今の時点でOKだって考えないんだ?」
「へ…」
END
これ結構気にいってます。
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