イグニス

いつも、イグニスは皆より一足早く起きて、朝食の準備を始める。
だから私も早く起きて、その準備を手伝う。

そうすれば、ふたりきりの時間を堪能出来るからだ。





「ねえねえ、イグニス。イグニスはどんな女の人がタイプ?」





頼まれた鍋をぐるりとかき混ぜながら、私は尋ねる。
するとイグニスは振り返り、答えてくれた。





「好きになった相手がタイプだな」

「うわー…模範的回答だー」

「事実そうだからな」





そう言って彼はふっと笑った。
でも私はむくれたまま。





「それじゃあ作戦の立てようがないじゃない?」

「何の作戦だ?」

「イグニスを落とす作戦」

「それは興味深いな」

「色々考えて、実行して、だけど難攻不落すぎやしませんかね、お兄さん」





そう。私は此処まで色々試してる。

今、こうして早起きしてるのもそうだし。
積極的にあれこれ動いてる。

というか、そんなことイグニスも気付いてるだろう。

彼はいつも、そんな私の行動を穏やかに笑って見ているのだ。





「別にそんなことはないが」

「えー、だって全然よろっともしてないじゃない?」





正に難攻不落でしょ!

そう言えば、彼はまた笑った。
今度は「ははっ」と、声を出して。

今、笑うとこあったかな?

私が不思議そうに見ていると、イグニスは首を横に振った。





「すまない。あれこれ考えている姿をもう少し見ていたくてな」



END


イグニス難攻不落っぽいなあって。


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