クラサメ

「では、この問いを…」





授業中。
教室に響く落ち着いた声。

私は幸せに浸りながら、ぽーっと一点を見つめてる。

すると、その見つめていた人が、こちらに真っ直ぐ近づいてきた。





「…おい、ちゃんと聞いているのか」





目の前出来て、そう問われる。
私はその顔を見上げて、はっきりと答えた。





「勿論です!隊長の話は一語一句聞き洩らさぬよう神経研ぎ澄ませて聞いてます!!」

「……座れ」





ガバッと立ち上がり、力説。
座れと怒られた。

そこは素直に聞きます。
大人しく着席。

後ろの方から「馬鹿じゃねーのか、コラァ」とかナインの声が聞こえた。
お前に馬鹿と言われるのは心外である。





「まーた始まったねぇ〜」

「いつものことでしょ、ほんっと飽きないよねー」





周りからもちらほら聞こえた声。
それはある種、この0組の授業中の名物ともいえるかもしれない。

って、名物になってるの私自身なんだけど。

私は、このクラスを受け持つクラサメ隊長に夢中だ。
それは隠すことなく、いつでもどこでもオープンに。

0組には結構隊長に苦手意識を持ってる人も多いから、意味がわからないって言われることも多いんだけど…。
逆に言おう。私にはそれこそ意味がわからない!!





「…聞いていたのなら、あの問いを答えて見ろ」

「はいっ!お任せください!」





御指名頂いた。
当てられた問題を、私はスラッと答えて見せる。

勿論、バッチリ正解。

でも意外な顔はされなかった。
だって私、成績優秀だし。

まあそれも、クラサメ隊長が授業してくれるからこそ、なんだけどね!





「隊長〜!質問よろしいですか!」





授業終わり。
皆が教室を出たり、各々好きに過ごす中。

私は決まって隊長の元へとまっしぐらだ。





「ああ、何だ」

「ここ。この応用なんですけど」





いつも質問を考えて、必ず質問しに行く。
そりゃ優秀になるわけですわと自分でも思う。





「あー、成る程です!すっきりしました!」

「そうか。それは何よりだな」

「はい!えへへ、ありがとうございます!」





丁寧なクラサメ隊長の解説で疑問は無事に解ける。
私が笑顔でお礼を言えば、隊長はまじ…っと私の顔を見ていた。





「隊長?どうかされました?」

「いや、毎度熱心に聞きに来るものだと感心している」

「えー!だってクラサメ隊長絶対話聞いてくれるし、こんな絶好の独占タイム、逃してたまるかって感じじゃないですか!」

「……それがなければいい教え子なんだがな」





にっこり笑う私。
隊長は何故だか頭を抱えてた。




END


アーロンさんと同時更新だたので、大人がいいなあって隊長選んだという。


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