バッツ

あたたかい雰囲気に包まれるリックス。
この村はバッツの故郷。

一泊した夜、ふと目を覚ませばバッツの姿が無いことに気がついた。

同じように目が覚めたらしいファリスに背を押され、宿の外に出て姿を探す。
すると、村の奥にある墓前に、見つけた。





「バッツ」

「ん?どうした?…目、覚めたのか?」

「うん」





こっちに振り向いたバッツに頷いて、そっと歩み寄った。
そしてゆっくり読み上げた文字。





「ドルガン。そしてその最愛の妻ステラ、ここに眠る…?」

「俺のお袋と親父。頼まれてたんだ、親父に。一緒に埋めてくれってさ」

「…そうだったんだ」





…バッツのお母さんとお父さんのお墓、か。

前に、聞いたことがあった。
もともと体が弱かったお母さん。
旅の途中、病に伏せたお父さんのこと。

あたしは墓前にかがんで、手を合わせた。
そのまま瞼を閉じて祈った。





「えへへ、…報告!」





しばらくして黙祷を捧げ、顔を上げる。
そしてそう笑いかけた。

するとバッツもつられたように口元を小さく緩ませてくれた。





「報告って?なに言ったんだ?」

「えー?最近のバッツの行い。まあ良し悪し色々ね」

「おいっ!まったく、変な事言ってないだろうなー」

「あはは!さて、どうでしょう?…あとね、もうひとつ」

「ん?」





月明かり。
照らされて、バッツの顔がよく見えた。

立ちあがって、そっと彼の手を取る。





「息子さんに幸せにしてもらいます!…ってね」





そう悪戯な笑みを浮かべれば、バッツは一瞬目を見開いた。
でもすぐに、また笑った。





「言ってくれるよなー」





そう言いながらぎゅっと、握り返してくれた手。

静かな夜。
手を繋いだまま、宿まで戻った。



END


バッツ熱が凄い時に衝動で書いた。


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