スコール

「スコールスコールスコール!」

「………。」





何度も何度も連呼する名前。
テキスト片手にバタバタ叫ぶ。

教室の自分の席にぽつんと座るスコール。
どん!と勢いよく駆けよれば、彼は眉間にしわを寄せた。





「わかんない問題あるの!次のテストの範囲なの!教えて!」

「………どこだ」

「ここ!ここ!」





半ば呆れるように、指さしたテキストを覗き込んでくれたスコール。

これはテスト前のお決まり行事。
あたしはテストの直前、必ずと言っていいほど彼を頼る。

だって彼は成績優秀。戦闘のセンスもあるし。
これは頼るしかないでしょうって話だ。





「あー!なるほど!そういうことか!ありがとねー」

「……。」

「いやー、それにしても。スコールってば最近渋らずすぐに教えてくれるようになったよねー。…嫌そうな顔はするけど。でも、最初は軽く無視されてたこと考えれば進歩だよね!」





解けた問題に上機嫌になって笑った。

そう。昔はことごとく無視され、しつこく粘ってやっと教えてもらっていた。
なのに最近はすんなりだ。いやー良いことだね!





「……無視してもしつこいからな。時間の無駄だと気付いただけだ」

「おお、言うねえ…。だって、あたしスコールに聞くようになってから赤点取らなくなったんだもん!そりゃ頼っちゃうでしょ」

「……。」

「てことで、これからも頼りにしてますよー!」





ばしばし!っと肩を叩いたら、スコールは頭を抱えていた。
それを見てあたしは「あっはっはっ!」と大きく笑った。


…ねえ、でもね。スコール。
ちょっとずつこうして話せるようになってることがあたし、凄く嬉しいんだよ。

あたしこんな性格だけど、初めて「教えて!」って声を掛けた時は結構緊張したんだ。

…だって、気になってる人に頑張って声かけたんだから。



END


無理矢理感半端ない…。


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