ビビ
「え、じゃあビビってば…あの時、ひとりでお芝居観に来てたんだ?」
「う、うん」
それは「君の小鳥になりたい」…アレクサンドリア公演時。
通称、ガーネット姫誘拐大作戦!…の時のこと。
えーっと、だからつまり。
まあ、ビビと初めて会った時の事…なんとなく思い出して話をしていた。
…あたしは演じる側…だったから、いきなり舞台に飛び出してきた男の子にビックリしたもんだ。
「僕…お芝居大好きなんだ。だから、トレノから観に来たんだ」
「へーえ…そうだったんだ」
「う、うん」
「ねね、じゃああたしの芝居、どうだった?」
「え…っ」
にっこり笑って聞いてみた。
だってさ、こう役者的にはなんとなく聞いてみたいって言うか。
指摘とかあったら今後の参考にしたいもん。
「え…と、凄いなって思った」
「……すっごい大まかだね」
「え!あ、ううん!そ、そうじゃなくって!」
いや…急に感想求めたあたしが悪かった…。
特にないならお世辞言わなくて良いのよ、ビビくんよ…。
精進せねば…!ってことで。
…なんて思っていたら、ビビは慌てたように大きく首を振った。
「本当に…凄いなって、思ったんだ…。引き込まれちゃうような…そんな演じ方…」
「…え?」
「こんな人はじめて見た…って。ごめん…上手く、伝えられないけど…」
精いっぱい、一生懸命伝えようとしてくれるビビ。
それは、冗談でもお世辞でもなく…。
本当に思ってくれたんだ…っていうのが伝わって…。
「ビビ…!」
「えっ…?」
「ビビーッ!!!!」
「うわあ!?」
つい、その小さな体を思いっきり抱きしめてしまった。
すっごい驚かせちゃったっぽい。
でも、放しませんよ!
「ビビー!ありがとうーっ」
「えっ、う、ううん、そんな…僕なにも…」
「すっごい嬉しいよ!ああー、ビビいい子だー。好きだよー、ビビー!」
「あ、あの…お願い、してもいい?」
「ん、なあに?」
聞き返して、頼まれたその小さなお願い。
あたしは「もちろん!」と大きく頷いた。
「また…お芝居みせてね」
END
ビビの可愛さ半端ない。
あの可愛さどうだすの。
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