クラウド

モンスターとの戦闘中。
今対峙していたモンスターを仕留めたら、新たに向かってくるのが2匹ほど。

まったく今やっつけたのにー…なんて少しうんざりしつつ、でもこれなら大丈夫だなと頭では冷静に判断する。
魔力も余裕。私は手を伸ばし魔力を込め、バングルにはめたマテリアの力を一気に放った。





「ファイガ!!!」





ばあッと広がる炎。
襲い掛かってきた2匹はこの一撃で退治完了。

ふうっ…と息を吐いたのもつかの間。
次の瞬間、私は背後に嫌な気配を感じた。






「…!」





振り向けばもう傍まで迫っていた別の個体がいた。

あ、やば…。

ちょっと血の気が引いた。

おかしいな。気を付けてたんだけど。
どっかに身を潜めてたのかな。

そんなことが頭を駆け巡ったのはコンマの世界。

あー…やっちまった…。

それは諦めだった。いやだってもう無理。
私は頭を守るように腕でガードし、来るであろう痛みを覚悟した。





ガキンッ





でもそうして目を閉じた直後、予想だにしていなかったそんな音が聞こえた。





「へ」





目を開いてぱっと顔を上げる。
すると目の前にあったのはソルジャー服の背中。
つんつんの金髪がゆらりとなびく。

彼はいつも振り回している大剣を盾のように構えて私の目の前に立っていた。

今の音は彼の剣とモンスターの牙がぶつかった音だった。

攻撃を防がれたモンスターは怯んだ。
そして彼はそのすきを逃さない。

ヒュッ…と起用にうまく体重を乗せながら振るわれた大剣。
その一撃でモンスターは仕留められた。

もう完全にモンスターの気配はない。
どうやら今のが最後だったようだ。

いつものように大剣をぐるっと回し背中に納めると、彼は私に振り返った。





「油断したな」

「え、あっ、…ハイ」





油断した。その言葉はぐっさりと胸に突き刺さった気がした。
うー…まあ、油断…その通りだよなあと…。
そこは素直に反省するところである。

…ただ、いや、今はまた別に心に浮かんだ感情があった。

それを考えてたらちょっとどもっちゃったなと。
いやちょっとびっくりしたもんで。





「?、なんだ、怪我でもしたのか?」





変な反応をしたもんだからクラウドはそう首を傾げた。
私は首を横に振った。





「ううん、大丈夫。怪我してない。ありがとう、助かった」

「ああ。じゃあ、どうかしたのか」

「んー?」





どもった理由。
というか、まあそれはぼんやりしてたからなんだけど。

じゃあどうしてぼんやりしてなのか。その理由は…。

私はにっこり笑った。





「んふふ、なんかちょっとときめいたなぁと」

「は…?」

「いやあ、庇ってもらう事とかあんまり無かったから。おお、こんな感じなのか〜と」

「…何を言ってるのかわからないんだが」

「クラウドカッコイイじゃんって話」

「か…」





クラウドが固まった。
あらま、なかなか面白い反応。

私はまた思わず笑った。というか多分吹いたと言った方が正しい。

いやでも本当の話。
ピンチを救ってくれた背中。

それはとても大きく、頼もしく見えた。


END


PSP時代にティナと行動してる時、剣で攻撃防ぐのあったじゃないですか…。
あれが格好いいなあって思ってて。


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