スコール

「ふえっくしょい」





くしゃみが出た。
ぎゅうと風が吹いて、軽く体が震える。

するとそんな私に向けられているどことなくしらーっとしたひとつの視線に気がついた。





「なーんすか、スコールくん」

「…別に」





その視線の正体は我らがリーダー、スコール・レオンハートくんである。

別に、は彼の口癖だ。
何かと彼は別にと言う。

でもその別にの裏ではこういっろいろ思うことありまくりであることを私はばっちりと知っているのです。





「うっそー。絶対体調管理もできねーのかこのすかぽんたん!みたいなこと思ってるー!」

「(すかぽんたん…)…予想だにしていない単語は出てきたな」

「ぬ!?じゃあやっぱあれだな!あったま悪そうだなとか思ってんだろ!」

「…そうだな」

「なんでそこは別にじゃないの!!!」





酷いわ酷いわ!!
スコールくんが私をいじめる〜!

よよよよよ…と泣き真似をしてみる。

するとなんかまた冷めた目で見られた。
酷い男である。

だからちょっとヒートアップ。
えーん、と顔を両手で覆ってみた。

すると今度はバサッと頭に何かを投げ被せられた。





「!?…ななな、…って、え、なにこれ?」





ビックリして、慌ててその覆いかぶさってきた何かを頭から取る。

するとそこにあったのは真っ白なファーのついた黒いジャケットだった。
んん?なんだかとーっても見覚えがあるような。

そうしながら目の前にいるスコールを見れば彼はいつも着ているジャケットを身に着けていなかった。





「着てろ」

「……おう?」





言われた言葉におめめぱちくり。
するとスコールは「はあ…」と大きなため息をついた。





「寒いんだろ」

「え、まあ…。え、いいの?」

「風邪をひかれて戦闘に支障をきたされる方が面倒だ」

「なーる!」





淡々と言われてでも凄く納得した。
なるほどなるほど!!すげえ納得!!

確かにそれは彼の本音だろう。
というか私も足手まといは御免だ。

でも、上着を貸してくれたという事実。

それにはホッとあたたかさを感じるのです。





「うん、まあ表向きの理由は何であれ、嬉しい!」

「っ、表向きって何だ」

「ありがとスコール!!」

「おいっ」





ちょっとムキになった。
そう、彼は素直じゃない。

でもなんだかんだで優しいのです。



END


上着と言えばスコールくん。


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