ラムザ

「あ、起きた」

「あれ…僕…」





じっと眺めていた瞼が開いた。
それを見て私はホッとした。

そう心配しなくても大丈夫だって白魔道士の子にも言ってもらったけど、目を覚ますまで心配だったから。

窓から差し込む光に少し眩しそうに目を細めているラムザ。
彼は今の今まで気を失っていた。

うっすらと開い瞳が私に焦点を合わせて目が合う。
だから私はにっこりと笑顔を見せた。





「気分、悪くない?戦ってたの、覚えてる?」

「ああ…受け身が少し遅れて、魔物の体当たりモロに喰らって…」

「そう。ラムザ、気を失ったんだよ」

「…そうか」





異常がないかを確かめる意味も込めて、彼が倒れた経緯を覚えているかと今の状況の確認と説明をした。

ラムザ自身が今言ったように、彼は魔物の攻撃をモロに喰らって気を失ってしまった。
私達はそんな彼を近くで見つけた空家に運びこんで、今はゆっくりと安静を取らせていたところだった。

でも実際ここに運び込んでからそう時間は経っていない。
わりとすぐに目を覚ましてくれて本当に良かった。





「…って、え?」

「ん?」





私が安堵を覚えていると、ラムザは突然はたっと固まった。
私はそんな彼を首を傾げて見る。

また、しっかりと視線が交わる。

すると、ラムザは物凄い勢いでガバッと起き上がった。





「って、え!ちょ、ひ、膝枕…!?」

「あー…ていうかそんな急に飛び起きて危ないよ。今眼覚めたばっかなんだし」

「あ、それは…うん、…じゃなくて!…どうして君はそんなあっけらかんとしてるんだ…」

「んー、まあここ着いてからずっとしてたしねえ…」





あはは、なんて私は軽く笑った。

いやラムザがビックリするのはわかる。
私だって膝枕なんてしたの初めてだ。

ただこう、枕にするのに適したものがなかなか見当たらなくてだね…。





「いや、皆も手ごろなものが無いならじゃあ膝枕でいいじゃんとやんややんやとだね…」

「盛り上がってたのか…」

「いや、で、まあ私もさ、ラムザの方に魔物が向かってるの見えてたんだよね…。でも間に合わなくて…。もう少し弓が早く引けてたらってちょっと反省したって言うか」

「……。」





そう、これはいわばそのお詫びと言うか…。
何かしたいという私の心のあらわれだったりする。

ラムザが気を失ってる間も、自分に何か出来る事が無いかとずっともやもやしてたから。

するとそれを聞いたラムザはその理由に納得はしたようで、でもふるふると首を横に振った。





「君のせいじゃないよ…。僕が油断してたから。ごめん、心配かけて」

「ううん。でも本当に反省するところだったなって思うの。ごめんね、ラムザ。ま、だからもうこんな膝いくらでも使ってくれって感じなんだけど」

「いや…それは、まあ…うん」





ぺしぺしと膝を叩けば、ラムザはちょっと眉を下げた。
でもその顔はすぐにフッとした笑みに変わった。





「ふっ…そうだね、許してくれるなら…もう少しだけ貸してもらおうかな」

「お、どうぞどうぞ。いくらでも!」

「なんだそれ、あははっ。ねえ、そう言えば皆は?」

「ああ、もう今日はこの空家を宿代わりにしようって話になってね。皆食料とか薪とか集めてくれてる」

「そっか。じゃあ…皆が戻ってくるまで」





ラムザはそう言って再び頭を私の膝へと置いた。
その顔は少しだけ照れくさそうで、でもなんとなく楽しそうで嬉しそうな、そんな笑みが浮かんでる。

そして彼は囁いた。





「ふたりきりって、凄く久しぶりだ…。たまには僕もひとりじめくらいしたい」





なんだか珍しい言葉。
でも素直に嬉しいと思ったから、私もふっと微笑んだ。



END


ラムザ増やしていきたいですね〜。
アケ、NTのおかげでファンも少し増えたのでは…?


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