クラウド

抱き着いた。

肩に頬をうずめれば少し頬に掛かる金髪が瞼の端に映る。
結構がしっとしてる背に手を回して、きゅっと力を込める。

ああ、幸せだ。
それは純粋に思う。

だけどひとつだけ気になる事。





「クラウド?」

「…えっ」





そっと名前を呼べば、我に返ったように反応する彼。

私は彼に抱き着いた。
でもその瞬間、彼は固まった。

彼の手は抱き着いた私の背の後ろで宙に停まっていた。





「驚きましたか」

「…だいぶ」

「あはは、素直。声堅いねえ」





尋ねると、素直に返ってきた。
でもなんかカタコトみたいな音。

それがおかしくて私はついくすりと笑った。

私が彼に抱き着いたのは今が初めてだ。

でも別に自分だけの気持ちを押し付けて…ていうわけではない。
ちゃんと好きって気持ちを貰った。

だからまあ、ちょっと抱き着いてみた。

だけどまさかこんなに固まられるとは思わなかった。





「嫌ですか?」

「え!あ、い、嫌じゃない…!」

「そ?」





首を横に振ってくれた。結構な勢い。
それはちょっと嬉しかった。





「ふふっ」





嬉しいから、ちょっと笑った。
すると、そんな様子を見たクラウドの手がゆっくりと動き出した。

宙にあった手。
それがそっと、私の肩と背に触れる。

クラウドからも、抱きしめてくれた。





「…思ってたより、小さいんだな」

「そうかな?」

「うん…」





確かめて、実感してるみたい。
でも頷いた声はなんだか少し嬉しそうで。

優しい人だと思う。

その手はまるで、宝物を抱くように優しかった。



END


クラウドはあの肩当て痛そうだなあとか思うんですよ。


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