ラムザ

「なんかラムザってさあ…」

「なんだい?」





じっと見つめた目の前の彼。
私の視線に気が付いた彼はこてんとその可愛らしく首を傾げる。
いや別に彼自身は可愛らしくとか微塵も思ってないだろうけどさ。

そんな姿を見て改めて、私は一つ思った。





「なんか勢いよく抱き着いたりしたらくずれ落ちそう」

「はッ!?」





私が放ったその一言に、目を丸くして声を上げるラムザ。
なんというか、何ともいい反応…って感じである。





「君は何を言ってるんだ…」

「いやなんとなく。思った」

「思ったって…それだけ?」

「それだけ」

「…いや、そもそも抱き着くと言う発想が急に出ることがおかしいよ」

「だって思ったんだもーん」





発想が変だと言われても、そのなんか小柄な感じを見てたら浮かんでしまったんだもの。
こうね、わあっと言ったら一緒に「うわあ〜」ってなっちゃいそうな。

そんな私のてっきとーな言いぐさにラムザは呆れのため息をついた。

けど、やはり男の子。
彼にもそこは聞き捨てならないプライドがあるのかもしれない。





「別に倒れたりしない…。ちゃんと受け止める」

「お?」

「なんなら試したって良いよ…」





おいで、とでも言うようにラムザは私に両手を広げた。

おお…。
その姿にはちょっとキュンとした。

いやしかし可愛らしい顔してるよなあ、と。
そんなことを思えば、やっぱりこうね、思ってしまう。





「大丈夫?ためる?さけぶ?」

「ためない!さけばない!!」





あ、さけんだ…じゃない。睨まれた。

いやまあねえ?
折角だしやっとく?みたいな。





「…馬鹿にしてるよね?」

「してないしてない」

「……。」

「ご機嫌ななめ?」

「誰のせいだと思ってるんだ…」

「ふふっ、んじゃ、ラムザ〜!」

「わっ」





こちらも両手を広げて、わっと抱き着いた。

ラムザは驚いていた。
でもちゃんと受け止めてくれる。

いやこっちも別にタックルかましてるわけじゃないからそりゃ受け止めてくれるだろうけども。

なんて。ううん、本当はわかってるよ。
結構しっかりしてること。

まあとりあえず、私はご満悦だ。
でもそんな私の耳元で聞こえたのはラムザのため息だった。





「はあ…」

「ため息ばっかりね〜」

「…他の人で試したりしないでくれよ」

「するわけないでしょ〜。私をなんだと思ってるの」

「しかねない気がする…」

「ひっどーい」





なんということでしょう!
あらぬ疑いを掛けられて悲しいわ。

何て言いつつ、私はくすくすと笑う。

背中にはトンッ…と優しい手。
私もきゅっと力を込めれば、耳元の声もふっと笑った。



END


ラムザ初です。
これから少しずつ増やしていけたらな、とは思う。


prev next

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -