ロック

「あんた、本当手際いいね」

「へへ、まーな」





じっと見つめたゆらりと揺れた焚き火。
それに感心すれば得意げにへらりと笑うロック。

共に旅をするようになってもう結構な日が経つ。

私はその旅の中、日々、彼のサバイバル能力の高さに驚かされていた。





「付き合い自体はもうそこそこになるけどさ、実際こうやって外で一緒にいる事って無かったから結構驚いてるよ」

「リターナーの活動、お前はそんなに外でやる仕事多くなかったからな」

「ちょくちょくは出てたけど、まぁロックと一緒に動く事はほとんど無かったね。だから今わりと新鮮だよ」

「だな」





魔導の力を持つ少女の保護….ティナの一件から始まったこの旅。
それは友の様々な一面を知る機会になったのである。





「よくそんなちゃちゃっと火起こせるよな…私ならティナにファイア頼む」

「いやこんなの魔法使うほどのものでもないだろ。魔力は温存温存」

「薪とかもいつの間にか集めてるし」

「いや別にいつの間にかじゃないだろ」





今日寝る場所を決めて、さてじゃあまず何から始めようって思うとしよう。

食料を集めなきゃ、焚き火を起こさなきゃ。
私はそう色々考えるわけ。

でもそうしてる間にロックはすでに薪抱えてたりするわけさ。

そりゃいつの間にって話しでしょ?





「いや本当、色々場数踏んでるだけあるわ…流石泥棒」

「褒めてるのか貶してるのかどっちだ」

「褒めてる褒めてる。ナイス泥棒」

「泥棒じゃないっての。トレジャーハンターだ!」





毎度毎度のお決まりのやり取りだ。
そんなにムキになる事もないだろうに。

何度も何度も泥棒って呼ぶ私も私なんだけど。

でもやっぱりちょっと楽しくて、くすくすと笑った。





「ふふっ、うん…まあでもやっぱ頼りにしてるよ」

「ん?」

「頼もしく思ってますってこと!」





笑顔を見せてそう言ってみる。
それは純粋な感情だった。





「な…なんだ?えらく素直だな…」

「んー、まあねえ。でも助かってるの事実だし」

「ふーん。そう言ってもらえるのは嬉しいけど」

「うん。ロックと一緒で良かったよ」





頷いて、また笑ってそう伝える。
すると彼の顔もほこんだ。

そして。





「お互い様さ」





そう言ってニッと笑ってくれた。



END


ロック拍手初登場。
お互い様さって台詞いいですよね…。


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