クラウド

「ふふふふふ〜」

「なに笑ってるんだ」





ごろんと寝転がったテントの中。
寝心地はベットには適わないけど、案外悪くない。

私が笑みを零せば、隣に腰掛けるクラウドが不思議そうにこちらを見てきた。





「いやあ、野宿とかワクワクするなあって」

「…はあ?」

「む。何言ってんだこいつって顔ですね」

「そうだな」

「うわあ…酷い」





クラウドはそう言いながらごろんと隣に寝ころんだ。
ちなみに逆隣ではユフィが既に気持ちよさそうに寝息を立てている。





「野宿なんて、決して嬉しい物じゃないだろ」

「うーん、まあ慣れて来たらそうかもしれないけど…なにぶん初めての経験なもので」





私はへらりと笑ってそう言った。

数日前、私たちはミッドガルを飛び出した。
今まで一度もミッドガルを出た事の無かった私にとってこの旅は新鮮なことばかりだ。

テントで野宿。
今こうしているこれもまた、なかなかたまらない経験のひとつです。





「狭くて寝心地も悪い。良い事なんてないじゃないか」

「そうかな。仲間と一緒に寝るとかウキウキするけど」

「…呑気だな。隣に男が寝てて嫌じゃないのか」

「別に?」

「………。」





そう言うと、クラウドは突然黙った。

正直、何気なく何も考えずに言った台詞だった。
だけど、ああ確かになんかちょっと変な返しではあったかもしれない。

それに気づいた私の心情はどうだっただろう。

…なぜか更にわくわくが増した。





「なになに〜?クラウドは何かある感じ〜?」

「な…馬鹿か」





そう言うとクラウドはぐるっと背を向けてしまった。

ありゃりゃ…拗ねちゃった?
私はくすっと笑い、上を向いてテントの天井を見た。





「あはは、気を使ってくれてるならありがとう。ごめんごめん、でもユフィもこの通りぐっすりだしそれは大丈夫だよ。旅してるんだし、ね!」





テントだって消耗品だ。
あまり贅沢ばかりは言っていられない。

だから皆でひとつのテントを使っているわけで。

そのことに不満を持っている人はいないだろう。

それでも気を使ってくれたクラウドは良い奴だなあ…なんて思ったり、ね。





「…それは、男として見られてないって事か…?」

「…うん?」





小さな小さな声でクラウドが何か呟く。
私はそれを疑問符をつけて聞き返した。

だけどクラウドはそれを繰り返す事は無かった。





「…何でもない。もう寝よう。明日が辛くなるぞ」

「うん」





頷いて、唇を閉ざす。

まあ、本当は聞こえてたけれど。

男として見ていない。
別に、そんなことは無いけれど。

出会って、旅を始めて、まだそう日が経ったわけじゃないからまだまだクラウドについてわから無い事がたくさんある。

じゃあ逆に、クラウドはどう思ってるのかなあ、とか。

でも、聞いてきたって事は思うところはあるわけだよね。

うーん…なんて考えて、それで私の心に浮かんだ感情と言えば、正直やっぱりわくわくかもしれない。
って、それってなんだかちょっと性格悪いかなあ?

でも、なんだか楽しい。

そう確かに感じながら、私はゆっくり目を閉じた。



END


7は3人パーティなところもあって(PHSあるし別行動してる感がすごくある)テントとか雑魚寝してるんじゃないかな感が凄いあります。女の子いてもテントふたつとか出さなそうと言うか。


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