プロンプト

「いいなあ、そっちのテント」

「へ?」




標に並ぶふたつのテント。
それを見て私はぽつりと呟く。

すると、そんな私の声を聞いたプロンプトが間抜けな顔で振り向いた。





「へ、じゃないわこの野郎!自分は満喫して!羨ましいなこんちくしょー!」

「え、え、え?!ちょ、ちょっと待って!なんで俺突然いちゃもんつけられてんの!?」





文句を言いながら私は軽く奴の胸をパンチする。
するとその様に困惑気味になりながらプロンプトは私の腕を掴んで止めた。





「ストップストップ!なにすんの。羨ましいって何事さ?」

「そっちのテントが羨ましい」

「はい?」

「私もそっちのテントで夜通しお喋りとかしたい〜!」





わーん!と、思いの丈をぶちまける。

標に並んだふたつのテント。
大きなものと小さなもの。

言わずもがな、大きなものは男4人用で小さな方は私用だ。

標ならシガイや魔物は近づいてこない。
万が一何かがあったとしても、その距離は数センチの話で異変があればすぐに気が付ける。

男と女。まあ分けられるのは当然の話だ。
だがしかし、この距離だから聞こえる話声と言う物がある。

正直楽しそうで物凄く羨ましい!





「いやいやいや…何言ってんの」

「私は知ってるぞ、プロンプト。君がきゃっきゃしてあの空間を存分に楽しんでいる事を」

「いや…まあ、その…楽しいっちゃ楽しいけども」

「ほら見ろ!」





それ見た事かと指を突き付ければ「指差さないで…」と私の手を降ろさせて小さくため息をついたプロンプト。
またこの子はわけのわからないこと言い出して…みたいな顔してる。失敬な奴だ。





「女の子なんだから、一緒に寝るとかアウトでしょ」

「わかってるよ!」

「ええ…。わかってんの…?ていうかなんで俺逆ギレされてるの…?」





理不尽な私の言葉に相変わらず困惑を見せるプロンプト。

そう、まあ別に本当に本気で言ってるわけでは無い。
無理だってのはわかってるし。ただこうちょっとぶちまけてみたくなったという話だ。





「ま、でも1回くらいはお邪魔してみたいな〜とかは思うけどね」

「いや1回とかそういう問題じゃないでしょ」

「えー、プロンプト仕切りにすればよくない?プロンプトウォール!」

「プロンプトウォールってなに!?」




なんかアホなやり取りだ。うん、自覚はある。
大きなリアクションありがとう。

彼はまた小さな息をつく。





「あのさあ…」





すると、彼はそう切り出しながら私の肩に手を置いた。

一体なんだろう。
その目はちょっと真剣で、私をじっと見つめてる。





「…俺、好きな子の寝顔とか他の人に見られるの嫌なんだけど」





そして、口にしたのはそんな台詞。

ほほう。
それを聞いた私といえば、多分したのはそんな反応。

ちょっぴり、ニヤリと口元を緩ませる。





「ふーん。結構嬉しいから諦めてあげようじゃないか」

「…はは、有り難き幸せ〜」





私の言葉にプロンプトはそう小さく笑う。
でもその直後「ああもうなに言わすの〜」と両手で顔を覆い隠した。


END


プロンプトの口調とか考えるの結構楽しいです。


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