おてんば忍者



「はー!お日様ー!」





薄暗い洞窟を抜け、顔を出した眩しい光。
うーん、と体を伸ばして外の空気を楽しんだ。

やっぱり陽の光って気持ちいものなんだな…と実感した気がする。





「ねー、クラウド。ジュノンってどっち?」

「ああ、今確認する」






次の目的地はジュノン。
東じゃミスリルマインに逆戻りだから…北か、南か、西か。

方角を聞くと、クラウドは道具袋から地図を取り出して広げて確認を始めてくれた。





「それにしてもさ、案外タークスってお茶目集団なのかな」

「…連中が聞いたら怒りそうだな」





クラウドが地図を確認している間、あたしはレッドXIIIに話しかけた。

話題はタークスの面々。

あたしの意見にレッドXIIIはやれやれ…と言った感じで頭を振っていた。
いやでも、なかなか面白集団だったと思うんだよね、本当に。





「しかし…うち一人に好かれでもしているのか?」

「え?」





レッドXIIIにそう言われ、あたしはきょとん、とした。
その瞬間……ふわりと一枚の紙が風に舞った。

…おお、と。
飛んできたそれを、ぱし!と取った。

ナマエちゃんナイスキャッチ!
自画自賛ですけど、何か?

抜け落ちるようにその紙を手放した彼にあたしそれを返した。





「クラウド、なに地図落としてるの?飛んでっちゃうとこだったじゃん」

「あ、ああ…悪い」





地図が無かったらジュノン着けないよな…。
平原の真ん中で迷子ですか…。

着けたとしても「遅い!」って怒られるオチよね。
まあその場合は「クラウドのせいだよ!」って言うだけだけど。だってそれが真実だし。

いや、まあキャッチしたから全然心配無いんだけどね。





「…ナマエ」

「ん?」

「あんた、あまりひとりでフラフラしたりするなよ」

「は?」





その時クラウドから謎の訓告を貰った。

ふ、ふらふら…?
その言葉にあたしは顔をしかめた。





「あたし、別に放浪癖とか無いですけど?」

「誰もそんなこと言って無い…」

「だって、ふらふらて…」

「だからそれは…、まあ、頭に入れておけばそれでいい…行くぞ」

「はあ…」





思いっきり首をひねるあたしを余所にクラウドは地図で確認した方角へ歩きだした。

ふらふら…って、ちょっとお兄さん…。
あたし、そんなにどっか行くように見えるのかな?

…子供か!!!
いや…誰が見ても大人っぽいねーとは言えない容姿してるのは百も承知ですけど…!





「…なるほど」

「…なに、レッド」

「いや…」





自分の容姿にプチショックを受けていると、今の一部始終を見ていたレッドXIIIはどこか楽しそうに笑っていた。

…なんだ、君まで。
何一人で納得してるんだ。

なーんかモヤモヤっとするな…。
でもまあ…早く皆に会いたいし…まあいっか。

だから駆け出してクラウドを追いかけた。

しかし、そんな何気ない道中の間に…事件は起こった。






「やい!お前たち!!!」

「い!?」





ガサガサ…!
突如、森の中から威勢のいい声と共にガサッと何かが飛び出してきた。

ビクッ!?っと、あまりの威勢にあたしの肩は飛び跳ねた。





「覚悟し…ぶ!!!」





がしかし、こっちにはクラウド様がいらっしゃるのです。
彼をなめちゃいけません。

あたしとは真逆で咄嗟にその何かに反応したクラウド。
その大剣の峰討ちにより一発ノックアウト!

ドサ…という倒れたような音がする。

って、ぶっちゃけると何が起こったのかイマイチ理解できてない…。
…多分そんな感じ、だったとは思うんだけど。





「お、女の子…?」





何かの正体…。
そこの居たのは呟いた通り、ショートヘアが似合う女の子だった。





「えと…、今クラウド、あの子吹っ飛ばしたの?」

「ああ」





ぐでーん…と伸びてしまっている女の子。
彼女を指さして、恐らく今起こったのであろう状況を確認した。

うわ…見事に伸びちゃってるよ…。

ちょっぴり不安を覚えた。
…ケアルでもしてあげた方がいいのか…アレ。

でもよくわからないから、ちょっと遠巻きに見る。





「レッド。あの子、なんだと思う?」

「忍者…の様な格好だな」

「クラウド、もしかして知り合いとか」

「そんなわけないだろ」





伸びたままの女の子を眺めながらふたりに聞いてみる。

確かにレッドXIIIの言う通り…風貌は、忍者っぽい。
現に彼女の手には大きな手裏剣が握られている。





「あー。今流行りの、くノ一ってやつ?」

「別に流行ってないだろ」

「うーん…まあ、それはちょっとノリで言っちゃったみたいなとこあったよね」





本当にノリで飛び出したボケにクラウドは律儀に突っ込んでくれた。ありがとう。

まあ、そんなことはともかく…しばらくすると、むくっと女の子は起き上がった。
あたりをキョロっと見渡しその目にクラウドを捉えると、瞬時にキッと睨みつけてきた。





「チクショ〜…このあたしが負けるなんて…やい、このツンツン頭!もう1回、もう1回勝負だ!」





バッ!と立ち上がり、しゅしゅしゅっ!と拳を振りながら喧嘩を売ってくる。

…ちょっと心配したけど、意外と平気そうでなによりだ。

でも…うーん。
あたしの勘的には悪い子では無さそうに思う…かな。

とりあえず喧嘩を売られた当の本人、クラウドを見てみる。
すると彼は……瞬殺でした。





「興味無いね」





すっばと言い切る元ソルジャーさん。

…きゃあっ、格好いい!
って…違う違う。

アホな思考は慌てて振り払う。

えーと…見事に超ばっさりだった。
あたしが女の子の立場だったら凹みそう。それくらい瞬殺。





「む、逃げる気?ちゃんと勝負しろ!しろったらしろ!シュッシュッ…どうしたどうした!アタシの強さにビビッてんだろ!」





でもこの子は強かった。
凹むどころか、結構ポジティブ。

でもちょっと突っ込みどころだ、これ。





「むしろ一発ノックアウトで貴女の方がビビって無いか心配…」

「う、うっさいよ!」





ははーん、みたいな顔で言うもんだから、ちょっと突っ込んでみた。
そしたら顔を真っ赤にして怒ってきた女の子。

うん、やっぱり悪い子には見えない。
むしろなんか面白い。

友達になれたらとっても楽しそう。
なんか自然と笑みがこぼれてしまった。

そしたら今度はあたしが睨まれた。





「やい!お前!何ニヤニヤしてんだよ!」





びしい!と指さされ、怒鳴られた。
…いや別に怖くないけどさ。





「ニコニコだよ」

「どっちも変わんないよ!じゃあ何笑ってんだよ!」

「おっもしろいなーって思って」





素直に返せば「はあ?」って顔された。
そんな顔されても、あたしは素直に答えただけですー。

…と、していれば傍でいつもの好きな声。





「…ナマエ、行くぞ」

「あ、クラウド」





クラウドに肩を引かれた。

そして女の子は放置でそのままジュノンの方角に再び歩きだす。
レッドXIIIも黙ってそれに続いてきた。

い、良いのかなあ…と思いつつ、ちょっと後ろを気にすれば…やっぱりだった。





「ちょ、ちょっと!?あたしのこと無視!?」





去りゆく背中に慌てて声を掛けてくる女の子。
しかしまたもクラウドはバッサリだ。





「先を急ぐんだ。構ってる暇はない」

「な!?なんだよーそれ!ちょっと待てったらー!」





ぱたぱた。
追いかけてくる。

足音がひとつ増えました。



To be continued


やっとユフィ登場!
でもなんか雑でごめんなさい。

私は、いつもここでユフィを仲間にするので。
でも後半になるにつれてユフィのエンカウント率って上がるとか。
だからなかなか出てこなくてイライラしますが。(笑)


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