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なまえをうばわれても生き続けるものでありたい
頑なな頬ごと飲み込んでしまいたい
噛み千切った喉仏に傷痕は見つからなくて
ダッシュで目指す地平線
君が生まれてきた理由を答えなさい
潤んだ瞳を両手で覆う
(その表情だけは私のもの)
切りきざまれた自由を背負ってお空に向かって飛び立った
気楽に生きて息が出来なくなったらまた深呼吸すればいい
命綱をアイツに託してみる
愛を知れば壊す事など何倍も容易く
泣き虫のついた最後の嘘
(泣いてなんかいないよ)

悲しみの上に横たわり無常の寂寥を忘れ去りたい
笑い転げ狂乱する恋人の奥に垣間見えたのは息切れした僕
彼女が原子の集合体である事をやめた日

朦朧とした信仰の中でノイズと化した聖母の御声
こんこんと眠る姫は既に腐乱死体となっていた

どこかにある濁りない快楽と闇夜に輝く満天の星空を求め少年はひとり旅立つ
あどけない幼女は浮わつく背中に指を這わせ
終了間際に燃えたぎれ
(恋ってそんなものでしょう?)
あちこちに散らばる指を繋げて指切りげんまんをした
またたく星が五月蝿い僕を呑み込むのもそろそろだろう
心に映らぬ嘘こそ真実
人間らしい人間になるために
(だから私は何者なんだ?)

裂けた唇を血で染まりゆく指先で擦り眉間に皺を寄せた
ライフル銃を捨て腕を後ろ髪に絡める
かたつむりのラブレター
綺麗に笑う笑い方が思い出せない

ため息ついて幸せを逃すくらいなら欠伸をして不幸を手に入れる方がいい
必死に繰り返す二人だけの合言葉はついに使い道をなくした
ハジマリの始まりから世界は妖美に狂っていた
終わりが始まる前に最後の抱擁を交わそう



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