残念ながらべた惚れ(ガイルク)
ルークはとぼとぼとグランコクマを歩いていた。先程聞きたくない噂を耳にしてしまった
―――――ガルディオス伯爵は見合いをするそうよ
自分じゃ子は産めない。だから、そんな話がきてもおかしくない
別れなきゃいけない。別れたくない
矛盾する気持ちが、ルークを襲う
ガイが誰かに盗られてしまうかもしれない、とループする気持ちに捕われてしまったら無性に会いたくて来てしまった
(ガイ、いるかな…?)
そっと扉を開けて、中に入る。真剣に音機関を弄っているガイが相変わらずで笑みがこぼれる
ルークはソファーに座っている大きな背に抱きついた
びくっ、とガイの身体が揺れる。だが、誰が抱きついているのか分かると、手を止めてルークの方を向く
「どうした、ルーク?来ていたなら連絡くれれば迎えに…」
「やだ…っ」
ぎゅっと抱きつく。ガイとしては訳が分からないだろうが、この手を離したくない
「ルーク、一回離してくれ」
「嫌だ…っ!」
「分かった、なら」
ガイは無理矢理ルークを引き離して、正面からすっぽりと抱き込む。傷ついたルークをガイが力強く抱き締めた
「ルーク、ちゃんと説明してくれ。何かあったんだろ?」
何もかもお見通しなガイは、なだめるようにルークの背を撫でる
ルークはゆっくりと話し始めた
しばらく黙って聞いていたガイだったが、それはそれは深い溜め息を吐いた
「つまりお前は俺を信じていないわけだな?さっさと見合いしてお前を捨てると思っていると。へぇ、俺はそんな薄情な男だと思われていたわけだ」
どこかふてくされた声色でそう呟いたガイ。ルークは慌てて言う
「ち、ちが…っ!そうじゃなくて」
「ははは、分かってるさ。だがな、ルーク」
顎を大きな手で掴まれ、軽く口付けられる
「もうお前を手放せないくらい残念ながらべた惚れなんだ。いつまでも不安なルークに今日はたっぷりと教えてやるよ」
「え?ガイ…?」
何でいきなりこんな展開になったのか思考を巡らせていると、ソファーに押し倒される
「大人を本気にさせた罰はしっかり受けてもらうぜ?」
それから嫌というほど、しっかりと身体にたたき込まれたのだった
めでたしめでたし?
End
【初々しい恋10題】より
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