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俺は喋ることが苦手だ。

だから自分の気持ちは伝わりにくい。


?「きーらっ!聞いてる?」

俺の気持ちは大体こいつ、帝ナギが
代弁してくれている
ナギは俺が何を考えているかは
分かるからだ


綺羅「ん?うむ」


ナギ「んーもういいよっ!!」


ほらな、これだけで聞いていなかったのを
理解して話を諦めてくれる


ただ、ナギにも代弁出来ないことがある


それは…


「綺羅くん、ナギくんおはよう!
二人とも本当仲良しだね」


彼女、まるやましおりへの気持ちだ


綺羅「ん、おう」


ナギ「綺羅ー、それだけー?
しおりちゃん、おはよう♪」


俺は彼女のことが好きで
ナギもその事には気付いている


だけどナギには

「好きは綺羅が自分で
言わなきゃダメだよっ!」

そう言われた。


だけど、話すのも苦手なのに
告白なんて出来ない…
でもこのままではダメだ


こんなことを考えてずるずる
きてしまっている




ある日ナギが三人で遊びたいと
言い出した

もちろん俺とナギと彼女の三人で


ナギ「ねっ?いいでしょ?
しおりちゃんのことは僕が誘っておくから!」


綺羅「ん、あぁ」


ナギ「やったぁ♪じゃあ決定ね!
てゆうかさぁ、
そろそろちゃんと言ったらー?
僕が待ちきれなくなっちゃうよー?」


分かってる。ナギに迷惑かけていることも
ただどうすればいいのか分からないんだ…


ナギ(まぁ、僕がとっておきの作戦
考えてるし、いけちゃうね♪)


ナギが何か言ったような気がしたけど…
気のせいか…?




約束の日

待ち合わせ場所にはまだナギしかいなかった

ナギ「あ、きーらー!おはよう!」


綺羅「おはよう」


俺たちが合流してからすぐに
彼女はやって来た


「遅くなってごめんね!」


ナギ「大丈夫だよー♪僕たちも
今来たところだからっ」


今日はナギのテンションが
やたらと高い気がする


ナギ「今日のしおりちゃん、僕みたいに
宇宙レベルでキュートだねっ」

「そ、そうかな…?」


照れた彼女も可愛い。だけど…


ナギと彼女の距離が近い。
いくらナギでも彼女に
ベタベタするのは許せない…


ナギ「可愛いよー?
僕が奪っちゃいたいくらい」


「奪うもなにも、私彼氏いないよ?」


ナギ…なにいってるんだ!?


ナギ「んー?こっちの話だよ♪
あんまりモタモタしてると大変だよってね」


ナギ…本気か!?
……くそっ



綺羅「ちょっと…」

俺の体は勝手に動いていた

彼女の手を引き、連れ出した




「綺羅くん?どうしたの?」


綺羅「うん」


ちゃんと言わなきゃ。

そう思えば思うほど、言葉が出ない


綺羅「………………」


「綺羅くん?」



綺羅「………………好きだ…」



「…え?」


綺羅「好きだ、お前のことが」


やっと言えた。
俺としてはかなりの進歩だし
それで充分だった


でも


「…私も…綺羅くんのことが好き」


まさか、彼女も俺のことが
こんな奇跡あるのかと俺は半信半疑だった


でも彼女の真っ直ぐな瞳は
とても嘘をついているようには
見えなかった



綺羅「俺は話すのが苦手だ。
だから、一緒にいても
つまらないかもしれない。
それでもいいなら…付き合ってくれ」


「ふふっ。珍しく綺羅くんが
いっぱい話してる。
私は無口なところも好きだから…
よろしくお願いします!」


俺の差し出した手を
彼女が握り返してくれる


綺羅「ありがとう。………
とりあえず、戻るか」


「そうだね。ナギくん置いて来ちゃったし」

俺はこういう時、どうしていいのか
分からなくて
とりあえずナギのところへ
戻ることにした


「ねぇ、綺羅くん。今度二人の時はさ、
手とか繋いでもいいかな?」


彼女はそんなことを聞くが
俺には断る理由なんかない


綺羅「ああ」


素っ気ない返事だと自分でも思う

なのに彼女は嬉しそうだった


綺羅「俺、少しずつ、話ができるように
努力するから…」


「うんっ♪」


そうしてナギのもとへ戻った


ナギ「あ!戻ってきたぁ!!
その様子だと…僕の作戦大成功☆」

ナギはピースサインをしながら言った


どういうことだ?


ナギ「綺羅がモタモタするからだよ〜?
ちょっとだけ手伝ってあげたの!」


なるほど、そういうことか。
やっぱりナギがいないと俺は
気持ちを伝えられないんだな…


でも、いつかちゃんと俺の気持ちは
俺自身が伝えられるようにする。


彼女と一緒ならそれも夢じゃないと思えた。
これから自分がどう変われるか楽しみだ

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