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気が合って、いつも一緒にすごしてる
なんて仲良しグループが多いはず


私にも仲良しグループがあります

でも女の子だけじゃなく
男の子もいて、とても賑やか


とっても楽しいのですが…



「あおいー!もうたすけてー(泣)」


「またなんかやられたの?今日は何?」


私がすがりついたこの子は
親友のあおい


私の愚痴をいつも聞いてくれる


「見てよこれ!もうせっかく
セットしてきたのにー…」


私はぐしゃぐしゃになった
髪の毛を見せながら言った


「うわっ…これはひどいね」

笑いをこらえたように言う


「もー…笑うなら笑ってよ…」


「ごめんごめん!で?いつもの
セリフは言ってったの?」


「もちろん。『実にいい!』とか
ほんっとムカつく!!」


?「ははっ、また俺の話か?」


私はグループの中のある人に
いつも嫌がらせをされていて
その犯人がこいつ。


鳳瑛一


「うるさいなっ。
なんでこんなことするの!?」


鳳「はっ、決まっているだろ?
お前の嫌がる顔を見たいからだ」


ニヤニヤしながら答える

最低な男だ。最低最悪変態男
こんな男なのに…どうして私は…


「んもー!!ムカつく!
あっち行ってよ!!」


鳳「いい…いいねぇ、その顔」


私たちのこのやり取りを見て
みんなは仲良しだなーと笑う


仲良しなんかじゃない。
本当はこのままの関係じゃ嫌だ。
そう言いたかった

けど、言えるわけない。




ある日、みんなでパーティーを
やろうという話になって
なぜか買い出しを私と瑛一くんが
行くことに


「なんで私が瑛一くんと…」


ふと愚痴をこぼすと


鳳「やっぱりな。そうやって
お前が嫌がるだろうと思って
俺がみんなに頼んだんだ」


はぁ!?何偉そうに言ってんの!?


そう言いかけたけど我慢した。

せっかく二人きりになれたのに
これ以上嫌われてたまるか…



そのあと色々嫌味を言われながら
買い物を済ませ、みんなが待つ部屋へ向かう


いつもは嫌がらせしてくるくせに
こういう時は重い荷物を
持ってくれたりする


「ねぇ…重くないの?…持つよ?」


鳳「いくら嫌がる顔が見たいからって
女のお前にこんな重いもの
持たせるわけないだろう」


なんなの…
突然優しくしないでよ…


「…ありがと。でもさ、なんで…いつも
私ばっかりに嫌がらせするの?」


ずっと聞きたかった、なぜ私だけなのか


鳳「……………この俺に
それを言わせるのか?」


「え?」


はぁ、とため息をつき
初めて見る優しい目で
私を見つめて


鳳「好きだからだろ…」


私は焦った

「…それは私の嫌がる顔がでしょ?」


優しい目は一瞬だった
すぐにイジワルな目に戻った

けど…


鳳「ああ…。俺は好きな女が
嫌がる顔が好きなんだよ」


何言ってるの?
それってどういうこと?


私が何も言えずにいると


鳳「まさか、気付いていなかったのか?
お前鈍感にも程があるぞ」


「え…?」


鳳「俺がお前を…しおりを
本気で好きだってことを」


私は瑛一くんの言葉を
すぐには信じられなかった。
ずっと嫌われているのかと思っていたから。

「嘘…でしょ…?」


鳳「嘘なわけないだろう」


その言葉は
涙が出そうなほど嬉しかった


「…ばかじゃないの?
好きな人に嫌がらせとか、子供かよ…」


鳳「うるさい。
…で?お前はどうなんだ?」



「…私も…好き」


ずっと言いたくて言えなかった言葉を
私は自然と笑顔で答えていた


すると瑛一くんは顔を近づけ

鳳「悪くない。むしろ…
いいねぇ、お前の笑顔」


そう言って優しくキスしてくれる


鳳「まぁ、嫌がっている顔が
一番いいがな」


またいつもの嫌味。
でも、こんなセリフも今は嬉しくて
しょうがない


鳳「さ、待たせてるからな。行くぞ」


「うんっ!」



そしてみんながいる部屋へ向かった


部屋に着き入った瞬間、大きな
クラッカーの音とともに
みんなが叫んだ


「「付き合って初日記念!!」」


へ??なにこれ?


「やっと結ばれたのね〜」
「瑛一もどんだけ焦らすんだよなぁ」
「長かったなぁー」

といった声が飛び交った


私だけが状況を掴めていない


「ちょっ、瑛一くんどうゆうこと!?」


鳳「全て俺の計算通りだな。全員に
言っておいた。今日告白することをな。
断られることはないから
帰ったら驚かすように頼んだのさ」


「まぁ、しおりは瑛一のこと
好き丸出しだったもんな!
断られることはないには全員納得!」


そう言ってみんなが笑う


みんなが知っていたと
分かった瞬間、急に恥ずかしくなった


「もおー最悪だぁー」

そう言いつつも
そこには本気で嫌な気持ちはなく
私もみんなと笑い合った



「さー!お祝いお祝い!!」

と、みんなが準備に取りかかったとき
瑛一くんが私にしか聞こえない声で囁いた


鳳「驚いた顔も、焦った顔も
照れてる顔も、実にいいよ…
もっと色んな顔を見せてくれよな」


「ばーか。この変態」


そう言って私たちは
微笑み合った



"色んな顔"見せるよ、瑛一くんだけに。

それを引き出してくれるのは
瑛一くんだけだから…

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