「うっしゃ、カヤ良くやった!スピネルも今の攻撃上手かったぜーっ」

「お兄さんのポケモン、すごく強いんだね!楽しかったよ、ありがとうっ」

草むらを進んでいると、野生のポケモンだけじゃなくてトレーナーとも遭遇する。バトルを重ねるうちに、2匹ともだんだん要領が掴めてきたようだ。さっきも虫とり少年とバトルになって、俺らが見事勝利。握手して賞金を貰ってから、スピネルとカヤを思いっきり撫でてやった。

尻尾をブンブンと振って嬉しそうにしているスピネルと、あまり感情は見られないけど気持ちよさげに擦り寄るカヤ。正反対に見える2匹に、俺はほほえましくなって笑みが浮かんだ。

「ここから先は裏から水道を渡るからなー。カヤさ、うずしおとたきのぼりは使えるな?」


念のため問い掛けると、ボールの中でカヤが頷いたのが見えた。今までのバトルで分かったけれど、カヤのレベルはそこそこ高い。多分ギャラドスになってから長いんだろうな。水面で改めてボールを開くと、青い鱗が光を弾く。バトルの疲れも癒えたのだろう、澄んだ赤色と視線が交わった。

「じゃあ、頼むぜカヤ!スピネルはボールの中でも良いけど、どうするよ?」

足元を見ると、スピネルの目がキラッキラしていた。…こりゃあ聞くまでも無かったな。苦笑いしてスピネルを肩に乗せる。落とさないように気を付けながら、カヤの背に跨がった。滑るように泳いでいくカヤに感謝しながら、俺達はトージョウの滝を目指した。


「おおぅ、さすがジョウトとカントーの境目!…スピネルよぉ、ちっとだけ我慢してボールに入ってろ。な?」

岸に上がって暫く歩くと、大きな洞窟が見えてきた。中には水が流れ落ちる轟音が響いている。ひんやりした空気の中で、俺達は滝を見上げた。どこで水が跳ねるか分からなかったから、ぶすくれるスピネルを下ろしてボールに入れる。

カヤに再び跨がると、水流に逆らってぐんぐん進んでいった。かなりのエネルギーを使っているはずなのに、僅かな揺れも感じない。俺はカヤの泳ぎを信頼しながら、あちこち洞窟を見回していた。滝を越えたカヤは、長い首を回して此方を振り返った。ジョウト側の陸地に降り立った俺は、礼を言ってカヤを戻した。


font size="2">「ほんと、この水源ってどこから来てるんだろうなー。冷たいしかなり澄んでるし。」

思わず手を伸ばして水面に触れる。驚くほどの冷たさに、体の芯がシャンとした。
ベルトに着けたボールがガタガタと揺れてる。お前な。気持ちは分かるがちったぁ落ち着け。苦笑いしながら、スピネルを外に出してやる。こいつが肩によじ登るのを見てから、俺達はジョウト最初の町・ワカバタウンを目指した。

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