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「これが私の半生。前線に立つのは私だけで充分よ…」
膝を抱えて丸くなると後ろから声が聞こえた。
『なるほどねぇ、争いを好まない割に指示が的確だったのは結鈴ちゃんが元ヤンだったからなんだねぇ』
ハッとして振り向くと皐月の姿が。
「皐月…ごめんなさい、起こしちゃいました?」
へにゃりと力なく笑うと昴に尻尾でしばかれた。
『バーカ、全員起きてるっての』
闇に目を凝らすと、朋や霊翠も控えていた。
「あらら、全員に聞かれちゃいましたか」
『結鈴ってホント馬鹿だよね』
『あら、そんな結鈴ちゃんも健気で可愛いわ』
フン、とそっぽを向きながらむくれる朋に姉のように優しく言葉を返す霊翠。
『結鈴、お前が俺らに傷ついて欲しくないと思うように俺らもお前に傷ついて欲しくないんだよ』
『ひゅー、すばるんかっくいー』
暖かくて、嬉しくて、気づけば、涙が頬を濡らしていた。
哀しくなどないのに、溢れ出る涙は止まることを知らず、ただ私は静かに泣き続けて、そのまま眠ってしまった。
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