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「なかなかお強いのですね。でも勝負はこれからですよ…トロピウス!」
次に出てきたのは首にバナナを下げた木のような配色のポケモン。
『あいつは草タイプも持ってるぞ』
横に控えていた昴が初めて見るポケモンを教えてくれた。
「なるほど…朋、下がってください」
『えーっ!?これからなのに…』
渋々と場外にもどってきた朋の頭を一撫でして皐月を出す。
『お、もう出番?』
「皐月、行きますよ」
「ミロカロス、ですか。ならばトロピウス、日本晴れ!」
「皐月、れいとうビーム」
日本晴れが決まるより早く、れいとうビームがトロピウスさんに命中した。
こう、技が決まると痛いのはわかるんだけれど、悲痛な叫びをあげられると胸が痛む…。
「もう一度、れいとうビーム!」
「トロピウス、まだいけますね!ソーラービームです」
ソーラービームとれいとうビームがぶつかり合い、フィールドが砂煙で見えなくなる。
しばらくしてクリアになった視界に飛び込んできたのは、目を回すトロピウスさんとピンピンしている皐月の姿。
『結鈴ちゃんって意外と指揮能力高いよねー』
「有難うございます」
「トロピウスをあっさり倒してしまうなんて…。頼みましたよ、ペリッパー!」
「…ふむ。皐月、雨乞いです」
『んん、ほーいっと』
燦々と日差しが差していたフィールドにたちまち暗雲が立ち込め雨が降り始めた。
「?何故雨乞いを…まあいいでしょう。ペリッパー、水鉄砲」
「かわしてください」
『はいはいー』
簡単に避ける皐月。心なしか外して悔しがるペリッパーさんを見て楽しそうに見えるのはきっとバトルを楽しんでいるだけだと信じたい。
「皐月、戻ってください。朋、出れますか?」
『へっ、愚問だね!』
ここにきてようやく雨乞いの意味を悟ったナギさんの顔色が変わる。
「朋、かみなり」
『よしきた!』
気合十分の朋のかみなりは水・飛行のペリッパーさんに効果抜群、一発KOだ。
「ではまあさくっといきますか」
「っ、エアームド!」
『負ける気がしないね!』
「…朋、死人は出さないでくださいね。かみなり」
『ぎゃあああああ!』
これもまた一発KOで仕留めてしまう。
「心をひとつに通わせて大空を羽ばたく!チルタリス!じしん!」
「…かみなり」
指示した順とは逆に朋の方が早かったらしくチルタリスさんにかみなりが炸裂する。
しかし
「おお、耐えましたか」
それなりにダメージを受けたものの、しっかりと立っているチルタリスさん。そして
グラグラと揺れるフィールド、避けきれずダメージを負った朋。ほぼ瀕死に近い状態…ゲームで言うと赤ゲージといったところだろうか。
「朋、戻って。皐月、れいとうビーム」
流石に今度は避けきれなかったらしく、れいとうビームが命中。あえなくチルタリスさんも地に伏した。
「私より華麗にポケモンを戦わせる人…初めて出会いました…。その実力を認め、この ジムバッジをお渡しします!」
「どうも有難うございます」
ナギさんからフェザーバッジを受け取り、ジムを後にした。
バッジってどうしたらいいのだろうか。服に付けるとかすごく嫌なのだけれど。
PCに戻って皐月と朋をジョーイさんに預ける。
待っている間に昴に相談するとバッジケースとかあるんじゃねえと言われて鞄を漁ると本当にケースがあった。
「なるほど、ここに入れると」
初めてもらったバッジは、キラキラと輝いていた。

 

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