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翌朝。未だ夢の中の昴たちを起こさぬようにそっとベッドから出てお風呂に入る。
泥やら寝汗やらを流してスッキリしたところで何日かに一回でいいからと言われた左腕の消毒をする。
じくじくと痛む傷口に早く治らないかなあと思うも、全治一ヶ月と言われたのを思い出しげんなりした。
ため息をつきながらガーゼを貼って包帯を巻く。どうもポケモンの治療は最先端技術でも人間の治療はまだまだ未発達らしい。湿潤療法など無論なかった。
もう一度ため息をつきそうになったその時、
『…結鈴?』
「ああ、昴でしたか。すみません、起こすつもりはなかったのですが」
『いや別に、っておい!ちゃんと服着ろ馬鹿!』
一応弁解しておくと、服は着ている。ブラウスを羽織っていないだけで。
「その反応はあんまりじゃないですか」
『あさからうるさい…』
『んんー…よく寝たぁ』
「ほら、昴が喚いたせいで皆起きてしまったじゃありませんか」
『お前が無防備なのが一番悪いわ!』
朋に文字通りかみなりを落とされるまであともう少し。

『いやー、ジム戦日和だねぇ』
と楽しそうな皐月。
『こっちこっち!もう、早くー!』
妙にハイテンションな朋。
『あいつら元気良いな…』
「ええ、全くです…」
それについていけない昴と私。
ちぐはぐなメンバーでのジムデビューが始まろうとしていた。

「ごめんくださーい」
ジムのドアをくぐってみるも誰もいない。
お留守かしらと首をかしげているとがしゃんがしゃんと照明がついていく。
呆気にとられて立ち尽くしていると、奥から女性がでてきた。
「私はこのヒワマキジムでリーダーをしているナギ。鳥ポケモンと心を通わしいっしょに大空を舞い…どんな苦しい勝負も優雅に勝ってみせます」
「はじめまして。天草結鈴と申します。お手合せよろしくお願いします」
「ええ、私とポケモンがおりなす華麗な舞をみせましょう!」
「行けっ、チルット!」
出てきたのは翼が雲のような鳥、チルット。
「朋、お願いします」
『任せて!』
気合は十分らしい。
「チルット、燕返し!」
『ぐあっ!』
「っ!影分身から10万ボルト!」
指示が遅い、と怒りながらも器用に指示された技をこなしていく朋。
『きゃああ!』
急所に当たったのか、チルットちゃんは一撃で倒れた。
『へへっ、まだまだだよ!』



 

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