8.長く短い道程
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そんなすったもんだの末、ピカチュウくん…もとい、朋が仲間に加わって。
ミナモを発った私たちは現在、懐かしの120番道路にいる。というか、目の前の彼に捕まっていると行ったほうが正しいのだろうけれど。
『それでさぁ、って聞いてる?』
「あー…はい。マグマ団の方にニーキック入れた話ですよね」
『そうそう!もう惚れちゃって!!キミ、ボクを手持ちに入れてみない?』
『ねえコイツに10万ボルト食らわせたいんだけど』
『おう、やってやれ』
「いやいや、駄目ですよ確か効果抜群じゃありませんか」
熱烈アピールをしてくる彼、お訊ねしたところミロカロスくんというらしい。
彼に捕まったのは、何気ない昼食後のことだった。
『あれ、これすごいつりざおじゃない?』
ゴソゴソと鞄を漁っていた朋が見つけたものはすごいつりざお。目の前には池。
『僕レベル上げしたいなー結鈴釣りしないかなー』
キラキラした瞳に負けるのは時間の問題だった。
で、竿をふってみたら見事に大物が当たったと。そう、かなりの大物が。
「むかし後輩の言っていたうざやかという言葉の意味が今ようやくわかった気がします」
彼には失礼だが、これをまさにうざやかと呼ぶのだろう。
『で、どうするのー?』
『やっぱここは10万b「それは無しでお願いします」チッ』
朋に舌打ちされたもののこの勢いだと池全体に10万ボルトをお見舞いしかねない。
大量虐殺ダメ絶対だ。
「しかし、手持ちになりたいなんてへんな方ですね」
『ぶっちゃけるとねぇ、ここいらでボクに敵うやつっていないんだぁ。でもボクミロカロスでしょ?みんなコンテストに出したがるんだよねぇ』
コテンと首を傾げた私にミロカロスくんは律儀にも説明してくれた。
『ミロカロスって美しさが高いポケモンなんだよ。だからみんなバトルよりもコンテストに出したがるってわけさ』
「なるほど」
『…もう面倒くせぇしコイツいたらなみのり使えるし捕まえたらいいんじゃねぇの。面倒くせぇし』
「(本音が漏れてる…)まあ、ミロカロスくんがいいなら…」
『やったー!』
鼻歌でも歌いだしそうなくらい上機嫌な彼にボールを差し出せば、押されるボタン。
こうしてまた、メンバーが増えたのでした。

 

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