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長い距離を歩き、道中バトルを申し込まれたりしながら北へと進んでいく。
その最中も私は必死に頭を働かせていた。
水、水辺、ほとり、岸辺、沢…
「あ、」
横を歩いていた昴がこちらを見る。
『ひらめいたか』
「皐…ううん。皐月、でいかがです?」
『うん、いいと思うよ』
ありがとー、とボール越しにお礼を言われた。
『思ったんだけどさ、結鈴ってニックネーム考えるのにいやに時間かかるよね』
ポケナビで目的地を再確認していると朋がぼそりと呟いた。
「そうですかね?」
安易に付けられたニックネームというのも少し嫌な気もするのだが。
『嫌ってわけじゃないけどさ…そんな悩むかなって』
『確かに結構悩んでるな。その割に愚直というか実直というか』
「昴はもう少しお口を良くしたほうがいいと思います」
私とて熟考している割に実直であることは気にしているのだから。
「あとはここを曲がればヒマワキシティですね」
ガサガサと背の高い草むらをかき分けていくと、急に視界が開けた。
どうやら草むらを抜けきったらしい。
ここまで随分とトレーナーに絡まれたりしたのでできれば早くポケモンセンターに行きたいのが本音だ、が。
「あたしがパラソルを持っている理由?うふふ、あたしに勝てたら教えてあげてもいいかな?」
…拝啓、天国のお祖母ちゃん。ヒマワキはまだまだ遠そうです。





 

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