5.執着以上依存未満
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「こんにちはー」

本日も晴天なり。120番道路に住んでいるアブソルくんを見舞いに行く。

『お前また来たのかよ…』

彼は口が悪いものの、面倒見はいいようで。迷子スキルを発動した私があらぬ方向へ歩き出したのを見て慌てて121番道路まで送ってくれた恩人である。

「相変わらず怪我だらけですねぇ…もう少しご自愛なさっては?」

アブソルくんはよく怪我をする。それに気づいたのはつい先日なのだけれど如何せん治療してもすぐに怪我をこしらえてくるのでまるで自転車操業だ。

『文句ならハンターに言えっての。っ痛!』

「あ、すみません。染みました?」

真顔で言うな、真顔で!等ときゃいきゃい戯れるこの時間が最近の楽しみだったりする。

「とはいえ、最近怪我が増えているのは私の気のせいではないかと思うのですが」

『そりゃアレだろ。あの赤い集団』

「赤い集団?なんですそれ」

曰く、最近この近辺を赤い服の人間たちがウロウロしているらしい。
その人間が時折アブソルくんを見つけては物珍しさから捕獲しようと戦いを挑んでくるとのことだ。

「まったく、物騒な世の中になったものですねぇ」

はぁ、とため息をつきながらアブソルくんの治療を終えたその時、ガサガサッ、と茂みが揺れて、血まみれの塊が飛び込んできた。

『た…す…け…』

よく見ると血まみれは黄色い生き物のようで。

「!!アブソルくん!」

『よく見ろ、ピカチュウだ。大方サファリパークから脱走でもしてきたんだろう』

「そんな…こんな血まみれになってまで…」

血まみれのピカチュウさんは文字通り必死だった。

『今頃サファリの職員が捜索してるんじゃないか。前にもあった』

「…そう、ですか。ピカチュウさん、生きてますか」

『ケホッ…さ、わん…な…!』

伸ばした指にチリリと痛みが走る。が、生きてはいるようだ。

「偽善だと笑ってくれていい。今は我慢してください」



 

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