人が豪華な船




アドリビトムに入ったから、リオンと一緒に挨拶回りしようかなと思って声を掛けたんだけど、


「僕は誰とも馴れ合うつもりは無い」


って言われちゃったので、仕方なく一人で行く事にした。
…リオンが一緒じゃないと心細いな…。
とりあえずアンジュさんの所に行こう。






「あら、ルナ。今は特に受けれる依頼は無いわよ?」
「ううん、違うの。…あの、もし、アンジュさんが良ければなんだけど、ここにいる人達に挨拶して回りたいから付いてきて欲しいんだ」
「リオン君は?」
「断られちゃった…」


アンジュさんはあらあらと微笑みながら言った(どこが微笑ましかったのかわからないけど)。
すると、食堂へ続く廊下の扉が開いた。


「ん?新入りか」
「ユーリさん、丁度いいところに」


ホールに入ってきた長い黒髪の人を見るなり、アンジュさんはぱん、と手を合わせた。
お、おお、男の人だ…!声聞かなかったら女の人と間違えそうだったけど。


「昨日から二人、ギルドに入る事になったの」
「ルナ・ミール…です。ウッドロウ様の下で客員剣士している人の部下ですっ。よよ、宜しくお願いします…」
「緊張してんのか?ま、いっか。俺はガルバンゾ国から来たユーリ・ローウェル」


近付いて来たユーリさんから逃げるようにアンジュさんの後ろに隠れた。
二人の反応は当然、訳がわからないと言った物。


「ご、ゴメンなさい!私…男の人が苦手で…。怖い…んです」
「まぁ」
「あ、あー…。それは悪かったな」
「いい、いいえ!ユーリさんは悪くありません!」


罰が悪そうに頬を掻いているユーリさんに慌てて弁明する。
どうしよう…。何もしていないのにこんな反応されたら誰だって嫌な気持ちになっちゃうよね…。


「ルナ、落ち着いて。大丈夫よ」
「アンジュさん…?」
「そんなに思い詰めないで。ユーリさんは少し驚いただけで怒ってる訳ではないし、苦手な物はしょうがないわ。無理する必要は無いのよ」
「ま、そーゆうこった。だから、今にも泣きそうな顔すんなって」


二人の言葉に体から力が抜ける。凄くほっとする。
変わらずアンジュさんにしがみついたままだけど、自然と笑顔になってしまう。


「お、笑ったな。んじゃ、ルナ。無理に近付かなくていいから、ちょっと付いて来い」
「ふぇ?」
「俺の仲間を紹介するよ」
「そうそう。それをユーリさんに頼みたいところだったの。私は持ち場を離れられなくて…。もし良ければ他の人達のところへも案内してあげてくれないかしら」
「お安い御用だ」


ほら、行くぞルナと言われ、少し戸惑っている私の背中をアンジュさんが微笑みながらそっと押してくれた。

いつまでもリオンに頼っている訳にはいかない。

そう思って、ユーリさんとは大分距離が空いてるけど後を付いていった。
ユーリさんはそれでも構わずに色々な人のところへ案内してくれた。






「エステリーゼ・シデス・ヒュラッセインと申します。どうかエステルって呼んでください」
「うちの国の姫さんだ」
「…え?」



「ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディアですわ。ライマ国の王女として日々精進しておりますのよ」
「王女…様…?」
「俺はルーク・フォン・ファブレ」
「…アッシュだ」
「この似ている二人は双子で、王位継承者らしい」
「うぇえ?」
「なんだぁ?素っ頓狂な声出しやがって。おかしな女」
「ルーク!そういう事を仰るのはおやめになって!」








「リオン。この船、偉い人達がいっぱいいてるよ」
「問題あるのか?」
「…あぁそうだ、リオンはこんな人だった…。ウッドロウ様の下で働いているのに敬っていないんだもん」
「僕は媚びへつらうのが大嫌いだからな」
















ユーリとの出会い。
リオンの出番少ない…。



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