ねこねこメイド




エローウェル氏に絆されるマグナス氏。故に二人とも変態。
つまりキャラ崩壊注意。





















「ユーリ…。覚悟はいいか」


猫耳ルナを渾身の思いで振り切ったリオンはユーリに剣を抜きながら近づく。その目は怒りに燃えており、若干据わっていた。


「待て待て、落ち着けって。良かっただろ?ルナに猫耳」
「っ、いい訳な…!」
「顔真っ赤にしたところで全然説得力ねーから。時にリオン」
「なんだ!」
「俺、こんなのも持ってんだけど」


ユーリが取り出したものはうさ耳のカチューシャ(黒)。
リオンは嫌な予感が脳裏を掠めたものの、うさ耳自体は置いといて、ユーリがそれを所有しているという事実に顔を引きつらせた。


「んな引くなよ。成り行きで手に入ったんだからしょーがねぇだろ。とりあえず、リオンにやるよ」
「…僕は貴様みたいな趣味嗜好は持ち合わせていない」
「俺を変態扱いすんな。ほら、ルナの髪色と同じ黒だぞ」
「…だからどうした」
「ルナに付けさせ」
「殺す!」


ユーリが全て言い終える前に鞘に収めてた剣をもう一度引き抜き、斬りかかる。
不覚にも想像してしまったらしく、顔は真っ赤だ。


「はっはっは。視野を広げないと楽しめるもんも楽しめないぞ?」
「黙れ!そんな嗜好に走るものか!」
「固いねぇ。多感な年頃だってのに」


ニヤニヤと笑いながらユーリはリオンの剣を己の刀で受け止めている。
その余裕さが更にリオンを憤らせた。


「あーあと、ロックスに頼んで今、メイド服と猫耳(黒)作らせてるんだわ」
「!」
「噂じゃ、お前メイド好きらしいからな」
「誰がそんな事っ…、……っ!?」


肯定と捉えられる発言にユーリは笑みを深くし、それを見たリオンは嵌められたと理解し、更に赤くなる顔。


「なんやかんやでリオンだってそういう趣味嗜好持ってんじゃねーか」


ぐうの音も出ないのはこの事である。
嵌められたとは言え、密かに抱いていた事が露見されたのだ。無理も無い。


「想像してみろよ。猫耳メイドなルナ」


すっとリオンの中に入る言葉。
無意識に言われた言葉通り想像してしまい、顔に熱が溜まる。
恐らく、頼めば疑問を抱く事も軽蔑する事も無く素直に着てくれるであろうルナ。
見てみたいというのが本音。だが、プライドと良心が痛むのを感じる。
己の中で天使と悪魔が言い争っている間に扉を叩くノック音が聞こえた。


「ユーリ様。頼まれていたお召し物が出来上がりました」
「お、悪ぃな。わざわざ持ってきてくれて」
「いえ。では、確かにお渡ししました。失礼致します」


やや事務的ではあるが、丁寧な対応するロックスから出来上がったらしい品を受け取るユーリ。
綺麗に畳まれた黒い布地と白い布地、そしてその上に黒い猫耳のカチューシャ(耳と耳の間にはヘッドドレスのような白いフリル付き)。
それを見た途端、脳としての機能が完全に停止する。


「やっぱロックスはいい仕事するわ」


折角綺麗に畳まれていた布地を広げ、繁々と眺めるユーリ。
無駄なフリルやレース等が無く、シンプルで清楚的な作りで長めのスカート丈は見事にリオンの好みに怖いくらい嵌まっていた。


「俺としては短い丈にニーハイの組み合わせが良かったんだけどな」


裾を弄りながら言ったユーリの台詞に、それも有りかもしれない、と思わず想像してしまい、頭を振って想像したものをかき消した。


「お…っまえ、ルナを何だと思っているんだ!」
「あ?何だとは何だよ。別にいいじゃねーか、減るもんじゃあるまいし。可愛い奴に可愛い格好して欲しいと思うのは当然の摂理だろ?」


至極尤もな意見に聞こえるが、リオンは騙されない。
何故ならユーリの意見にはルナ自身を尊重していないからだ。


「ルナが嫌がったらどうするつもりだ」
「そん時ゃ無理矢理着せたりしねーよ。あくまでも本人の同意の上でな。けど、嫌がるのか?あいつ」


ユーリの台詞にリオンは言葉を詰めた。
阻止してくるようで強くしてこないリオンにいい加減焦れたユーリは口角を上げながら口を開く。


「例のスイーツ試食券」
「な、何を…」
「俺がルナにこれ着るように頼むから、もし着たらそれで手を打とうかと思ってな。ここまで用意したんだぜ?」
「………」


こんな取引に屈して堪るかと断ろうとしたが、己の中の煩悩がそれを阻む。
確かにユーリの言う通り、減る物は何も無い。寧ろ、ルナはリタの猫耳を嬉しそうに着けていた。
減る物も損をする事も無く、逆に目の保養やらなんやらで得になるに違いない。
スイーツ券の条件だって難しい事でもなんでもない。


「………、…っ……わかった…」


長い沈黙の後、遂にリオンは折れた。


「んじゃ、取引成立だな」


放心状態で仁王立ちしているリオンの頭をポンと軽く叩き、ユーリは部屋を出た。






「ユーリに着てみてくれって言われたから着てみたんだけど、どうかなリオン」
「………」


本当に何の疑問と恥じらいを全く持たずにメイド服に着替え、更にあの黒い猫耳まで着けたルナがリオンの前に現れる。
想像を遥かに越える愛らしさに頭に血が上る。


「あ、リオンじゃなくて、えーと……」
「?」
「ご主人様?」
「―っ!?」
「え、ちょ…鼻血!?」


小首を傾げながら言ってのけたルナに遂に堪えきれず鼻血が垂れてしまった。
慌ててティッシュを差し出すルナから数枚取り出し、鼻を押さえる。


「もっと過激な言葉でも教えようかと思ったが、やめといて正解だったな」
「貴様っ…!ルナに変な事を吹き込むな!」
「?」





「ジューダス!?え、なんで鼻血!?」
「っ、な、なんでもない!」


実はこっそり陰から眺めていた仮面ストーカーの姿があったとかなかったとか。

















猫の日万歳\(^q^)/



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