寝相が悪いパン職人と
アレンの依頼に付き合い帰ってきたルナは小腹が空いた為、食堂に足を運んだ。
何やら香ばしい香りが鼻孔を擽る。
ひょこっと食堂に足を踏み入れるとそこにいたのは、
「セネセネ」
「セネルだ。ノーマの真似をするな」
セネセネ…基、セネルが何か生地のような物を捏ねながらルナの呼び方に注意した。
「えー、気に入ってたのに。セネセネ」
「そんな呼び方、ノーマだけで充分だ」
「んで、セネルは何しているの?」
興味津々と言った様子で捏ねている生地を眺めるルナ。
セネルはその生地を一纏めにし、ボウルに移した。
「久し振りにパンでも作ろうかと思ってな」
「え!セネル、パン作れるの?」
「あぁ。まぁ…、大した事無いが」
凄い凄いと褒め称えるルナに照れ臭そうに微笑むセネル。
「焼けてる奴があるが、食うか?」
「食べる!甘いのある?」
「ん?あぁ、これなんかどうだ。クリーム入り」
クリームという言葉に目を輝かせて喜ぶルナに、シャーリィとはまた違った感じの妹みたいで可愛いと思いながら、セネルはパンを差し出す。
「……(ガタガタガタ)」
「…悪い、忘れてた。ほら」
ぽーん、と宙を舞うパン。
ルナがそれをキャッチし、ゴメンねと一言謝ってから、いただきますと言い、一口頬張る。
「〜!おいひぃ〜!」
焼きたてでまだ温かく、中からトロッと出てくる口当たり滑らかなカスタードクリームにルナはご満悦の様子。
余程美味しかったらしく、すぐに食べ終えてしまった。
「セネル〜、もう一個!」
「はいはい。でも、最後にしとけよ。晩飯食えなくなるぞ」
「うん」
また投げられたパンを受け取り、一口かじる。
「!今度はチョコだ!」
先程と同じカスタードクリームだと思ってたが、まさかの大好物に大喜びのルナ。
最後という事もあり、少しずつ食べていく。
「(小動物みたいだな)」
「(むぐむぐ、ごく)あー、美味しかった!ありがとう、セネル」
「こんなんでよければいつでも作るぜ。…ただ、中のクリームはあんま期待すんなよ」
「ほへ?どうして?美味しかったよ」
「ルナが食べたのはユーリが作ってくれた奴だからな。アイツの分も用意するって条件で提供してくれたんだ」
「へぇー。…あれ、私食べちゃったけど…」
「心配するな。まだある」
一瞬ユーリの分を食べてしまったのではとルナは心配になったが、セネルの言葉にほっと一息吐く。
「じゃぁまた作ってね!セネセネ!」
「だから、そんな呼び方するな。…作ってやらないぞ」
「!やだー!」
ほんの冗談のつもりで言ったのに対し本気でショックを受けたらしいルナにセネルは声に出して笑う。
リオンが過保護気味になり、ユーリがちょいちょいちょっかいを出すのにも納得する、とセネルはこっそり思ったのであった。
マイソロでしかセネルの性格わかりません。←
セネルの中の人が好きなんです。
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