たまにはいつもと違った昼食でも…
[1/5]
「お待たせしました。」
「おっせぇぞ!柳生!ジャッカル!」
邑が転校して来てから数日経ったとある昼休み。
屋上には仁王以外のレギュラーメンバーが集まっていた…
「あれ?仁王先輩は?」
赤也はいつも一緒に来るはずの潤斗が居ない事に疑問を持ち、何気なく聞いた。
「ばっ… 赤也!」
それだけだったのだが、柳生の隣に居るジャッカルが慌てた様に赤也を止める。
「へ… どういう「仁王君ならあの女子(アマ)と一緒ですが何か?」そ、そうッスか…ι」
もはや紳士のカケラも無い。
そんな柳生の纏う黒いオーラ的な物にビビる者数名、ノートに凄い速さで文字を書く者、柳生に負けない位に黒い笑いを浮かべる者…
ここ、立海大附属中の屋上に、なかなかカオスな空間が完成した。
そんな事はつゆ知らず、空き教室で昼食をとる潤斗と邑。
「お前、それでメシ足りんのかよ」
「今ではこれだけでじゅーぶんじゃ
邑が食い過ぎなだけぜよ。」
普通は会話が逆なのだが、そこは潤斗と邑。
普通とは違って当然だ。(トリップ前からだから尚更…)
「ちゅーか、部活入ってない女子が大盛り弁当+パン3個なんかありえん。ブンちゃんか」
「俺としてはそんだけしか食わなくて部活やってるお前の方がありえねぇ
ってか、ブ太と一緒にすんな」
それからたわいもない話をしながら昼食を消費していく2人。
「そういやお前、さっき授業中寝てたろ」
「サボらないだけましナリ」
「私立って、サボろうと思えばサボれるから楽だよな〜」
いつもはレギュラーと食べている潤斗だが、今日は邑と食べている。
何故かと言うと、それは数十分前に遡る…
---------------
「潤斗、起きてよぉ〜」
「んー…」
邑が仁王の肩を軽く揺すると、潤斗は眠そうに目を擦りながら机から顔を上げる。
わかる通り、授業中寝ていた潤斗。
しかもまだ寝そう。
そんな潤斗に、邑は溜め息をつく。
「お弁当食べ損ねちゃうよぉ?」
「それはイヤじゃ…」
あまり食べないが、食べる時は食い意地が張る潤斗。
弁当を取り出して立ち上がれば、柳生とジャッカルが居ない事に気が付く。
「邑、柳生とジャッカルは?」
「ん?ああ、2人なら潤斗が寝てたから、置いて行っちゃったみたいだよぉ?」
「煤I!?」
「…冗談だからι だから泣かないで」
潤斗の頭をポンポンと撫でた後、自分の席でパンをかじりだす。
そんな邑に、潤斗は少し疑問を持った。
「邑、いつも一緒に食べとる子らは?」
いつも邑の席に集まる2人が居ない為、1人でモフモフ食べる邑は、「ん?」と少し間を置いて口の中の物を飲み込んでから話だす。
「みっちゃんは今日は休み。あむっ さっちーはモグモグ委員会で食べながらモグモグ何か決めるんだってー」
「飲み込むの待った意味なかι」
途中からパンをかじりながら話す邑に、「食べながら話すんじゃなか」と軽くチョップを食らわす。
「テメェは柳生か」ギリギリギリ
「キャラ戻っとるナリ」
「痛いぜよ…!ι」と邑に踏まれた足から逃げる。
ちなみに、周りには聞こえない小声クオリティ←
「じゃあ1人なんか?」
「うん。一緒に食べようって誘い損ねちゃったから」
「アハハι」と苦笑いを浮かべる邑だが、実際の所、教室内でもミーハーな演技をしている為、いつも一緒に弁当を食べる2人以外に親しい者は男子も含め居ない。
「ふーん…」
潤斗が何か考えるそぶりを見せていると、教室に柳生とジャッカルが入って来るのが見えた。
「すみません、仁王君。
少々前の授業の片付けをしていまして…」
「邑と話してたから大丈夫ナリ」
置いて行かれたんじゃない事が分かり、少し嬉しそうな潤斗。
「そうでしたか…」
しかし、それに対して一瞬強張る柳生。
「それでは行きましょうか」
柳生はすぐに持ち直し、弁当を持って廊下の方を指すが、それに潤斗は否と答える。
「今日は邑と食べるナリ」
さすがに1人は可哀相じゃき
それだけ言うと、仁王は邑の手と邑の弁当を持って出て行ってしまった。
(途中で自分の弁当を忘れた事に気が付いて慌てて戻って来たが)
「あー、と… 柳生…?」
「大丈夫か?」と続けようとしたジャッカルを遮ったのは、柳生の握力に悲鳴を上げる弁当箱の音だった…
[ 15/84 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]