面白くなるなら、キャラに嫌われるのも本望だ
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赤也が去り、廊下はいつもの様な騒がしさに戻る。
そして残った潤斗と邑は…
「いや〜、面白い♪」
「俺は赤也に同情するなり…」
現在、廊下にいる人数は少なく、邑はミーハーぶりなどせずに素で話している。
万が一聞かれていたら困るので、少しばかり小声だが…
「ちゅーか、マネージャーになる気ゼロなんか?
今ので確実に幸村と柳に伝わったぜよ」
近々合同合宿を控えている立海大テニス部。
そのためマネージャーを募集しているのだが、集まってくるのはミーハーばかり。
そこで潤斗は邑にマネージャーをやってみないかと誘ってみたが…
「まーなれなかったら女子テニス部行くよ。
ここの女子テニって全国区の奴がゴロゴロ居るんだろ?」
と、本人は強い相手と戦えられれば何でも良い様子。
「キャラとの絡みを自ら断ち切るトリップ主なんか、なかなか居らんと思うぜよ…
(そういや生前の時も『たまに部員と戦わせること』を条件にマネージャーをやっとったのぅ…;)」
「ま、戦えなかった場合はお前が相手しろよ?
生前から全国区の実力持ってて、しかもテニス歴俺の軽く倍なんだから、そこら辺の奴よりは何倍も強いだろ?
つーか、真田に圧勝しただろ?」
「プリッ」
「プリッ」って便利な言葉だよな〜 と笑いながら教室に入れば、ちょうど教室を出る柳生とジャッカルに遭遇した。
「仁王君、美舞さんを巻き込んでサボってたんですか?」
「誘ってきたのは邑じゃ。
あ、次移動教室なんか?」
「ええ、視聴覚室でビデオ鑑賞らしいです…よ…?
(今、女嫌いのはずの仁王君が名前で呼んだ…?)」
一度教室に入り教科書が入った段ボールを置いてから、荷物を持って柳生達の元へ
「準備出来たぜよ」
「………仁王、先程は何故美舞さんの名前を…?」
柳生が聞こうとしたのを見計らって、邑が声をかける。
「潤斗に柳生君にジャッカル君、早く行かないと遅れちゃうよぉ?」
もはや神懸かって来ている邑のミーハーぶりに、柳生とジャッカルは嫌そうな顔をする。
「あ、待ちんしゃい!;;」
置いて行かれそうな雰囲気に、潤斗はトテトテと邑の元へ
「フンッ」
「Σな?!」
自分達にしか見せないはずのヘタレを邑に見せている潤斗。
それは柳生を突き落とすには十分で…
邑は更に追い討ちをかける様に鼻で笑い、潤斗の手を引っ張って視聴覚室へ
(正式には潤斗が道を教えながら)
「嘘です…あの仁王君がレギュラー以外でヘタレを見せるなんて…
しかもお互い名前呼び…?ミーハーの分際で」
最後の言葉で紳士の片方も無くなった柳生が携帯を取り出し、連絡したのは、幸村の元。
「幸村君ですか?前に手に入れたと言っていた本が有りましたよね?
はい、黒魔術の…
少々貸して頂けないでしょうか…?」
「(Σ水野逃げろ!超逃げろ!!)」
ピクッ「(何か嫌な予感がする…)」ギュッ
「どうした?手の力強めて…」
「邑は俺が守っちゃる」
「? おお、守れ」
知らない所で大ピンチ
「そういえばずっと俺とおるけど、陰口しか言われちょらんな…」
「恐れ戦いてイジメなんて愚かな事は出来ねぇんだよ、だって俺様だもん(キラッ)」
「陰口も立派なイジメじゃけどな」
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