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俺の吸血鬼兄がこんなに変態なわけがあった
「名前よ……我輩と一つになろうぞ……」
「ファッ!??」

身の危険を感じるセリフが聞こえたので飛び起きれば、俺に馬乗りになっている不審者を発見した。なんと朝っぱらから既に夢ノ咲の制服を着ていた奴は、ガチャガチャとスラックスのベルトを外し始めていたので、慌てて一発ぶん殴っておいた。

「いたぁっ!? な、何をするのじゃ名前!」
「帰れ! 棺桶に帰れ!」
「我輩の帰る家は、木曜日以外はここじゃよ?」
「ここは俺の部屋であって、お前の家じゃねーんだよ!!!」

零――信じられないことに俺の双子の兄だ――に向かって全力で叫んだ。
朔間零と言われれば、分かる人も多いだろう。夢ノ咲学院アイドル科でも指折りの名声を誇るグループ『UNDEAD』のリーダーだ。

クソみたいに顔よし声よし頭よしのスーパーチート野郎で、双子の弟である俺はどうやらこいつにあらゆる長所を全部吸い取られたらしい。格差社会ここに極まれりな双子兄弟という訳だ。主に顔面偏差値的な意味で。

だがこいつには、致命的な欠点があるのだ。それは……

「名前を見ておったらムラムラしたのじゃから、致し方あるまい?」
「いや控えめに言って頭がおかしい」

こいつは近親相姦クレイジーサイコホモ野郎(ガチ)なんだよ!

俺たちより一個下の弟に対してガチホモしてんならわかるよ? あいつも零と同じで顔面偏差値ぶっちぎってるからね。でも凛月は零のことを徹底的にスルーするパーフェクトなスキルを有しているから、全く成就する見込みもなく、素晴らしくド健全な毎日を約束される訳だ。

なのに零は、凛月に対しては健全かつ控えめなブラコンにとどまっている。そして双子の弟の俺のケツを追い回しているのだ。な? イカれてるだろ?

「我らは双子じゃろ?」
「まぁそうだけど」
「つまり、元から我らは一つ。つまりつながる必要があるのじゃ」
「頭おかしい(二回目)。そして俺らは二卵性双生児なので元から別個体だバカ野郎!!」
「チッ、バレたか……」
「それで論破できると思われてるのが逆に心外だわ!」

双子の弟とはいえ、同じ年齢の可愛くもなんともない男だぞ? ほんとどうしてそんなぶっ飛んだ感情を俺に抱けるのか意味不明。300字以内で説明せよ。あ、やっぱ結構ですキモイので。

「うう、なぜじゃ? 一年生の葵君たちはあんなに仲良しなのにのう」
「誰だよそいつら。仮に仲良しだったとしても、零みたいな仲良しを求めてはねえだろ、その双子は!」

俺は今年大学一年生だが、零は留学したから現在高校三年生だ。俺の知らない新一年生の名前が出ても、返事がしづらい。というかそもそも、俺は普通科だったんですけどネ! とても鬱だ。

「はぁ、仕方あるまい。とりあえず名前、手を貸しておくれ」
「あ? なんでだよ」
「我輩、基本的に朝の授業には出ておらぬけどのう、一応学校自体には登校時間までには行く主義なのじゃ」
「ふーん。良いことなんじゃね?」
「うむ。であるからして、早急にこの熱を冷まさねばならぬのじゃよ」
「トイレ行って抜いて来い。一人で」

なんで一人でなんて当たり前のことを念押ししなければいけないのか。すべて双子の兄がクソホモのせいだ。
可愛い名前くんの手を貸してほしいのじゃ〜とか抜かしているので、この握った拳でアイツの股間殴ったほうがいいのではないかと思いはじめてきた。

「仕方ないのう……じゃあちょっとトイレお借りするぞい」
「はいはい」

珍しく素直に引いてくれた。ふぅ……助かったぜ。
さて、俺は今日の授業は二コマ目からだ。ゆっくりと朝食の準備でもしておくかな。

……一時間後、零も既に学校に行ったので、俺もそろそろ出ようかなと思った。さて、一応上着も持っていくかと思って衣装ケースのところまで行くと。

なぜか白い液体まみれの俺のシャツが転がってたんだけど、泣いていいかな?


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bkm