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- ナノ -

episode 4
隠したおもちゃ

見てはいけないものを見てしまったのだ。
あの、昨日まで晃牙の前で子供のように笑っていた少女が、実の兄に犯され、下腹を精液で濡らしているだなんて。

こみあげてくるのが吐き気であればどれほどマシだっただろう。気を紛らわすように髪をぐしゃぐしゃと掻きまわしたが、現実は変わらない。自分の下腹もまた、零と同じ行為を求めるかのように勃起していた。

「は……なんだよ、これ……」

目の前の光景が現実と思えないのは、二度目だった。どうすればいいのか分からず立ち尽くしていると、零が何事もなかったかのようにちらりと視線を晃牙に寄こした。

「扉を閉めてくれるかえ、わんこや」
「……」
「おぬしとて、そのまま外には出れんじゃろ?」

ごくりと生唾を飲んだ晃牙は、ついに零の言う通り扉を閉めた。がちゃ、と静かな廊下に音が響く。

部室の中はどこか熱気が籠っていて、正常な判断能力を奪うには丁度良い。晃牙もまた、まるで魅了されたかのように、ふらふらと二人の傍へと歩いていた。

「ちょうどいい。名前や、ついでにわんこの処理をしてやるがよい」
「……は……ふ、あ、こ〜ちゃ……あっ、あ……」

ぼんやりと晃牙を見上げていた名前が、徐々に顔を青くする。ほぼ全裸で、しかも兄とセックスしていたのがバレたのが相当堪えたのだろう。そうだ、普通はこの反応なのだ。微動だにしない零がおかしいだけで……

「やっ、やあ……こ〜ちゃんに裸見られたっ!」
「っておい、そこか!?」
「は、はじゅかしい……見ないでぇ……」

呂律が回っておらず……というか体力も尽きているのか、とろとろとした動きで胸や秘所を隠そうとする。その動きがかえって男を煽ることを、名前は知らないのだろう。腕から零れ落ちそうな胸元も、男に汚された白濁の残る脚も、すべてが煽情的だった。

「名前や、わんこがお主のせいで苦しんでおるんじゃぞ? 恥ずかしがっとる場合かえ?」
「え? ……あっ、こ〜ちゃん……大きくなってる……」
「は? ちょ、まっ、な、何してんだテメ〜!?」

いきなり何の前触れもなく、名前がズボン越しに晃牙のペニスに頬ずりしてきた。それどころか、唇を押し付けてキスまでし始める。

「ちぅ……、こ〜ちゃん、脱がせたげる……」
「何言ってんだ! 名前、何するつもりで……っあ!?」

零と名前が座っていた床に晃牙も座らされる。手際よくベルトを外して、トランクスをずり下げられる。勢いよく飛び出てきた自身に晃牙が思わず顔を赤くしていると、名前と不意に目が合った。彼女は心底愛おしそうな目で晃牙を見つめて、そっと唇にキスを落とす。そのままチロチロと愛撫するように唇を舐め、晃牙の舌を誘う。戸惑っていた晃牙も、名前の健気な行為に応えるように舌を絡めた。すると名前はまた嬉しそうに微笑み、キスをつづけた。

「ん、ちゅ……はふ、こ〜ちゃん、だいすき……」
「っ! ……おい、名前……」
「おねがい、こ〜ちゃんとえっちしたいの……いれて?」

そう言うと、名前は唇を離して少し腰を浮かせた。零の白濁と、先ほどの晃牙とのキスでまた溢れた愛液の混ざった秘所が、晃牙の張りつめた先端にくちゅりと音を立てて擦れる。

何が何だか分からないまま、けれど名前を抱くという誘惑には抗いきれず、晃牙はそっと名前の腰に手を添えて……

「これ、待たぬかわんこ。これを付けよ」
「あ?」

突然水を差され、さすがに不満げな顔をした晃牙だったが、零の手にしていたものを見て驚いた。

コンドームだ。持っていたのだ、この男は。

「名前が子を孕んだらどうするつもりじゃ? ほれ、さっさとせんか」
「あ、ああ……悪い、吸血鬼ヤロ〜……」
「……何か言いたげじゃのう?」

それはそうだ。名前とセックスする男の中で、一番に使わねばならないだろう実兄の零は、なぜ持っていながらこれを使わなかったのだ。

晃牙が孕ませてしまうのもマズいが、それより零が孕ませた方が数万倍マズいだろうに。そんな疑問はあったが、零は回答するつもりはないらしい。不思議に思いながらも、彼に渡されたものを晃牙は装着した。

「お、お兄ちゃん……持ってたの?」
「我輩は使う必要ないじゃろ?」
「う……」

名前は目を伏せた。特に反論をしないのはなぜか。問い詰める前に、名前はふいっと視線を晃牙に向けた。

「もういいもん。こ〜ちゃん、一緒に気持ちよくなろ……?」

ずぷ、と名前の蕩けるような割れ目が、晃牙のものを飲み込んでいく。ここから先は、もう思考を回すだけ無駄だった。

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