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episode 3
秘した戯れ

清楚で大人しくて可愛くて、朔間先輩の妹で。晃牙のことを弟のように可愛がってくれて、なんでもすぐに褒めてくれて。理想の女性だった。

だった! と強調しておきたい。なにせそれは出会った当初、一年生の頃の話だ。清楚で大人しい名前先輩は消えた。なにせ今ではすっかり、顔を鉢合わせるたびに犬のようにぴくんと反応しては、

「こ〜ちゃん!」

のこの一言だ。こ〜ちゃんというのは、不本意ながら晃牙のあだ名。毎回やめろと叱責のように叫んで訂正させようとするも無効。

たおやかに慎ましやかに「すごいね、晃牙くん」と褒めていてくれたあの時の名前先輩はどこに消えたのか。最近は何にハマったのか知らないが、やたらバカっぽく「すっごーい! こ〜ちゃんはギターが好きなフレンズなんだね!」とか褒めてくるので本当にはっ倒したい。というか一回ほっぺをつねった。

「ったく……プロデュース科に転科してきてから余計ひどくなってんぞ、あいつ……」

とは言いつつも、晃牙は今日も軽音部室に足を運ぶ。春から名前も軽音部の一員になったので、行けば確実に会えるのだ。零も昼間はこの部室に籠っている為、晃牙は用事がない時はほぼここに通っている。

すっかり通いなれた廊下を歩き続けると、やがて部室の扉の前まで来る。軽音部室の周りは人気もなく、扉を開けるだけでも盛大に音が響くのだ。一年前もこの扉のせいで名前に存在を気づかれた訳だが、今日は何も気にせず扉を開けられる。

なんて思いながら気軽に扉を開け、中に入ると。

「…………は?」



「お兄ちゃんっ、イっちゃう、イくっ……」
「はあ……イくのは勝手じゃが、おぬし咥えるのが相変わらずへたっぴじゃのう……もっと下品に口開けても構わんのじゃけど」
「はふっ、あっ、あ……お、にいちゃ……だめ、そこ舐めちゃいやぁ! ひぅ、も、らめぇっ」

名前の腰がびくんと浮いて、零の顔のすぐ横にあった太ももがピンと張りつめた。零の目の前にある割れ目からどろりと重たい愛液が滴ってきたので、迷わず口を付けて更に音を立てて啜ってやると、恥ずかしさのあまり名前はかわいそうなほどの悲鳴をあげた。

「やあぁ〜っ! やめてっ、まだイってるのぉ! ヒッ、ああっ」
「ほう、やめろとは異な。兄に歯向かう気かえ?」
「あっ、あ……? ち、ちが、ちがうのおにいちゃ……ひゃあっ」

零が少し冷たい声を出したことに気づいたのか、まるで償うように大きな口を開けて先端を咥え込もうとしていた名前だったが、それより先に体がひょいっと持ち上げられる。寝そべっていた零は上半身を起こし、今度は名前を棺桶の中へうつ伏せにしてそっと横たえる。

名前が兄の表情を窺おうと振り返ったと同じタイミングで、ずちゅ、と下の方で厭らしい音が響いた。それと同時に、ビリっとした快楽が腰の方を突き抜けてくる。はくはくと口を動かして視線をずらすと、既に名前の割れ目には、零自身の先端が埋まっていた。

「ぁ、あっ……おにいちゃ……」
「なんじゃ、また我儘でも言うつもりかえ?」
「うっ、ひっく……ちが、ちがうの……でも、ゴム……」
「あ? 俺とデキ婚は嫌ってか、名前ちゃんはよ?」
「ひっ! あ、ああ〜っ!」

兄の機嫌を損ねた妹の末路というのは、至極悲惨である。特に、朔間家の兄妹間では。

零がすっかり機嫌を損ねてしまったのか、かなり唐突に突き上げられる。名前はその衝撃でぼろぼろと涙を零したが、背を向けている零には気づかれようもなかった。

「ああああっ! いっ、あひっ!? お兄ちゃんっ、おにいちゃんっ……」
「……はは、良い子だなぁ名前。言うこと聞ける子には気持ちいいことしてやるからさ、ほら」

そう言うと零は名前の身体を抱き込んで、ぐりぐりと子宮の方まで先端を埋め込んできた。それだけで名前の目の前は明滅し始めるというのに、彼は器用にも名前の胸にまで手を伸ばす。形が変わるほど強く掴まれたかと思えば、撫でるように優しく触れてくる、その強弱に毎度毎度踊らされている名前は、上と下、両方からの快楽に呼吸を忘れそうになった。

「あっ、ああああ……ひぎっ、らめ、は、あ、あんっ……」
「っ、はぁ、締まってんぞ名前ちゃん? 兄貴に子宮犯されるのが好きなんて、晃牙が見たら幻滅すんぞ〜?」
「あ、こ、こうがくんっ……やだ、いやぁ……」
「嫌だよなあ、大好きな後輩に幻滅されんの?」
「っ……ああっ!?」

また体位が変わる。今度は正面に向かい合う形になり、一度ペニスがぐちゃりと音を立てて抜かれた。

「名前」
「ぅ、あ……お兄ちゃん……?」
「俺はずっとしてたいけど、もうすぐ晃牙が来るんだよな」

零が急に冷静な声でそう言い捨て、名前の身体から離れていく。
こんな状況で中断されてはたまったものじゃない。部活中もずっと零のモノを挿入してほしくて堪らなくなって、何も手に付かないのは目に見えている。淫らにペニスを求める顔を晃牙に見せる方が、兄とのセックスよりも、名前にとっては何倍も恥ずかしいことだった。

なので、この行動は当然の起因だった。

「は、いやっ、お兄ちゃん、イかせて、おねがい……もう、イかないと何もできないよぉ……」

先ほどまで零に苛め抜かれていた場所を自ら広げる。ピンク色をしたそこは、ひだが先ほどまで埋め込まれていたものを求めるように引くひくとはしたなく蠢いている。名前の表情の方も、蕩けてはしたないのだが。

「イきたいなら一人でイけって」
「や、やだあ……! お兄ちゃん、お兄ちゃんっ……」
「ん〜……、もっと本気になって誘えよ」

零の目は未だ冷たい。名前は零の言わんとしていることは分かっている。ほろほろ流れ落ちる涙をぬぐって、名前は零の立ち上があったままの一物に触れ、自分の濡れ切った割れ目へと押し当てる。

「お兄ちゃんの精液が、ほしいの……。ここに、びゅってして……情けない半人前の吸血鬼に、精液くださ……ひっ、あ、ああああ〜っ!」
「あ〜あ、ほんとドスケベだな名前ちゃんは? 吸血鬼なんて向いてねえし、淫魔名乗った方がいいんじゃね〜の!?」
「はうっ……お兄ちゃん、も、イく、またイっちゃうのぉ! あ、ああああっ!」

零が見計らったように一番奥を強く突き上げ、名前は逆らうことなく絶頂した。少し遅れて零も達して、容赦なく子宮の中へと白濁を放つ。もうろうとした意識の中、名前は溢れかえった精液が太ももに滴る感触にぎゅっと目を瞑ったのだった。

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