うちの桜井が

何で。どうして。一体ボクは何をした。何をしてこうなっているの。どうしてボクは怯えて、誰も助けにきてはくれないこの場所で必死に抵抗し、泣き叫んでいるの。謝るから。何度でも声が枯れても謝るから。ボクが謝るから…どうか、どうかやめて…ごめんなさい…!すみませんーーー…!!



「やだっ、ぁッ!!…んぅ…っ、やめてくださ…ぁィっ!、すみま、せ、ん!!や…ぁぁぁッ…!!!」


今では誰も使う事のない、滅多に人が出入りすることのない第一体育館倉庫。そこは校舎から離れた手入れなど何年もされていない雑草が好き勝手に生えている中にある小さな倉庫。その場所で、聞こえるはずのない声が響いていた。


「オイ、こっちの手ェ休めてんじゃねえよ」

「ホラホラ、早くしないと後ろがつっかえてるよー?」

「うわ、予想外にコイツん中きちーな…でも締め付けてきて気持ちーわ」

「〜〜〜〜〜ーーっ!ほんとっ、に…!!やめて……っ!!!んぁっ、アァッ!!」


冷たいコンクリートを背に、桐皇学園一年生の今はバスケ部の練習に参加しているハズの桜井良はあろうことか男に犯されていた。

部活に出ようと校舎を後にし、体育館に向う途中で見知らぬ先輩たちに話しかけられ元から意思が弱く自虐的な桜井は嫌ともハッキリ言えずにこの使われていない体育館倉庫に連れてこられてしまったのだ。はじめは青峰の怒りを買った先輩たちが腹いせに桜井を暴行するものだと思っていた。しかし、一番ガタイの良い先輩に後ろから羽織い締めされたかと思えば服を脱がされ、生憎抵抗する術も持ち合わせていなかった桜井はあっという間に何も身に纏っていない状態のままコンクリートの床に押し倒され、犯されることになった。


「んンっ、!い、やぁ…っ!んっ、んっ!うごかな…っ、い…っ!ああっ、はぁッ……!!!」

「さっきあんだけ解してやったのにまだキツキツかよ…」

「俺たちがこれから開発してやっから、」

「今は痛いかもしんねーけどこれからすっげえ気持ち良くなるって」

「も、う…!やめてくださ…い!ぼくが、わるかっ、た…!から、すみ…ませんっ!!あァッ、ふぅ…ぅっ!!」


いつも排泄器官として誰にでもあるソコを男たちは指を突っ込んだりエゲツない形をしているペニスを思い思いに突っ込み、出し入れを繰り返す。要は、セックスだ。

しかしそんな桜井は今、何よりも大切で誰よりも大好きなお付き合いしている恋人がいる。少しばかり一般の人とは違うが、愛してしまえば壁なんていくらでも越えられる。それを信じて桜井とその恋人はもう付き合って半年以上、長くお互いの時間を共に共有している。それはもちろん、色々と盛りな高校生とだけあってキスやセックスなど数はそれなりに重ねている。その人との行為は堕ちるほど気持ちよく、決して体目当てで愛し合っているわけではないが、体の相性もそれなりにいいとは思っていた。それに、自分の体を捧げるのは大好きな恋人だけだと決めていたのに。


「いやだ、っ!もう嫌です…!!!すみませんもう…ーーーーっ!?」


知らない男たちにあちらこちら触れられて、嫌だともがく桜井の必死の願いも虚しく、次から次へとソコに男たちのペニスは突っ込まれていった。


「いやだああああああああああ!!!!!!!!!!!」


ーーーたすけて、青峰さん…!

その声も届くはずもなく、自分の耳も塞ぎたくなるような喘ぎ声にかき消された。





栗色のサラサラなマッシュルームカットの髪の毛は男たちの精液によって白くカピカピになり、顔にも、腕にも身体のあちこちにも、足にも桜井の身体のそこら中に白濁とした精液がかけられた。しかし当の本人は腕や足を四方八方にだらしなく投げ、目を閉じ意識を失っている。初めてにしては壮絶でハードだった体験により生じたあまりの痛みに意識を飛ばしてしまった。桜井が意識を飛ばしたと知っていたのにも関わらず男たちは性行為をやめることなく、ただただ己の欲求満足の為に腰を振り、桜井のソコに全てをぶつけその行為によって得た快楽の為に出た精液をここぞとばかりに桜井にかけたのだ。

桜井が目を覚ますことはなく、男たちは倒れている桜井を放置して体育館倉庫を後にした。



「おらんか、桜井…」

「ダメっす、校舎のどこにもいないっす」

「でもローファーはあります。上履きのまま帰るハズもないから学校のどこかにいる…」

「練習を一時中断してまで監督に探せ言われとるんや。絶対に見つけなアカンで」

「でももう探してないところなんて…」


その頃桐皇学園バスケ部総出で、桜井良を捜索していた。学校が終わり放課後の練習が始まって一時間、二時間、三時間経っても決して無断で練習に来ないなんてことない桜井が現れないことを心配して監督が全員に桜井を見つけるように、と命令を出した。だがもう探しはじめて30分は経つというのにどこをどれだけ捜しても桜井の姿は見られない。教室一つ一つをくまなく捜し、トイレも物置も全て見た。…だが、見つからないのだ。お目当ての桜井良は。

これだけ探しても見つからないことに対してそろそろ部員たちは皆焦りを感じていた。根っから真面目な桜井が部員に心配や迷惑をかけるようなことはしない。ましてや部活に来ないなんてことは決してない。そんな彼がこの学校のどこにもいない。


「そういや青峰どこ行ったんすか?」

「そういえば…大ちゃんまだ探してるのかな…」

「よし。ほんならワシたちも探そか。ホンマどこ行ったんや桜井…」


誰も文句一つ言わずに一心不乱に桜井を探す。そして誰よりも桜井を心配して焦っていたのは他でもない、青峰だ。


「たしか…校舎の裏の奥に倉庫が…!!」


青峰は一人ある場所に向かう。前に昼寝を探す為にいい場所がないかと授業を抜け出して探検していたときに見つけた倉庫だ。だけどそこは見るからに雑草だらけで汚なそうだと判断した青峰はその場に赴くことを断念したのだ。それにそこ以外の場所はもう既にみんな探した。他に探していない場所といえばもうそこしか思い当たらないのだ。


「わっ、大ちゃん!!」

「さつき!良いたか!?」

「それが…まだ見つからなくて…て、どこ行くの!?」


校舎を抜けて倉庫を目指そうと走って角を曲がると桃井と鉢合わせした。先ほども会ったときに確認したが現状は同じ。そんなことだろうと思っていた青峰は桃井の落ち込んだ表情と"それが"という単語を聞き取った時点で走り出した。そんな青峰に驚いた桃井が呼び止めると青峰は「思い当たるとこが一つだけある。」と大声で叫び再び走り出した。そしてそれを聞いた桃井もじっとしていることができるハズもなく、青峰の背中を全速力で追った。

校舎の裏に入り、奥へ奥へと足を運ぶ。雑草やら何やらが好き勝手生えてるこの地で立ち止まる暇なんてない。もし暴行されていたとしたら、今すぐにでも止めに入らなければ桜井が無事かどうか…


「大ちゃん、桜井くんの上履き落ちてる!」


倉庫の前まで来たとき、桃井が下に落ちている上履きを拾うとそこには丁寧な見たことのある字で"桜井"と記されていた。これで確信が持てた青峰と桃井は重たそうな錆びた汚ない体育館倉庫を開けた。


ドォン、という地響きに似た音が鳴り響き、暗くてよく分からないが真っ先に異変を感じたのは鼻先をつく、何とも言えない悪臭だ。


「や…っ!?ーー、何このニオイ!!」


桃井は思わずむせる。鼻をつまんで顔を歪ませる。こんなニオイをいつまでも嗅ぎ続けたら気分が悪くなる。桃井は中に桜井がいることを分かっていながらも中に入ることはできず、鼻をつく強烈なニオイに耐えられず涙を浮かべながら背を向けた。
しかし青峰は、このニオイを幾度となく嗅いだことがあった。これは間違いなく精液のニオイ。それも一人が一度抜いて出した量のニオイを遥かに超えている。まさか、と思った青峰は悪臭漂う倉庫内に足を踏み入れた。だが明かりが無くて真っ暗な為に強烈なニオイが邪魔をして桜井を見つけることなど安易ではなかった。それほど広くはないが、狭くもないこの倉庫内を足と手を使って探す。


「大ちゃんっ、電気付けるよっ…!」


倉庫に背を向けた桃井だったが、このニオイに耐え溢れた涙を流しながらもスイッチの付く場所を探し当てた。そして青峰に声をかけ、パチ、と音を立てて古い蛍光灯が目を覚ました。


「「ーーーーー、っ!!?」」


突然の眩しい光に目を背けたが少しずつ開いた二人の目に飛び込んで来たのは、あまりの残虐さに言葉を失うような桜井の姿だった。


「良!」


青峰が桜井の名を呼び身体に触れるとかなり冷たくなっており、唇もカサカサで紫色に変色している。一刻も争うような事態だと思った青峰は桜井を抱き上げ、未だに言葉を失ったまま動けない桃井に呼びかけ、散らばっている衣服を全て回収し、直ぐにシャワー室に来るように伝えた。そして桃井もそれを聞きいつまでも唖然と立ち尽くしているようじゃ桜井を救えないと自覚したのか目の前に散乱する衣服を抱え、青峰の後を追うように体育館倉庫を後にした。



それからシャワーを浴びて隅々まで綺麗にしてやった。髪の毛は何度ぶっかけられたのか分からない精液が時間が経ちカピカピになっていたし、腹が異様なまでの膨らみを見せていた為ソコに指を入れて中に入っているモノを掻き出してやる。しかしいくら今は意識が飛んでいるとはいえ、ソコに指が入っている感覚は何と無く感じているのか、出し入れする度に桜井の顔が歪むのが痛い程分かった。

ーごめんな、ごめんな良。許してくれ、こんな俺を許してくれ…

青峰は桜井の髪に、頬に、胸に、太腿に、手に触れながら何度も何度も謝った。誰のか分からない精液にまみれた桜井が綺麗になる程、青峰は泣きそうになった。



「桜井くん…っ、桜井くん…っ!」

「泣くなよさつき。大丈夫だって、」

「でもっ、桜井くんっ!」


綺麗にしてやった身体にさつきが学校から臨時で借りて来た制服を着させてやった。その間も良が目を覚ますことはなく、今も保健室のベッドで眠っている。

ベッドで横たわり、顔に殴られたあとが痛々しく見える桜井の姿を近くで見ている桃井はあまりの衝撃に泣き出す。そんな桃井の肩を青峰が優しく抱き寄せるが、桃井が泣き止む様子はない。
こんな良の姿をこれ以上さつきに見せるわけにはいかない、と思った青峰は保健室を出て行くように桃井に伝える。が、首を横に振るばかりで出ていかないと訴える。しかし青峰からすれば、泣きじゃくる桃井に痛めつけられた桜井を目の当たりにして何もできない自分をこれ以上叩きつけないで欲しい。そう思い頭を抱える矢先、事を何と無く把握している今吉や諏佐が保健室に入ってきた。


「…分かった。じゃあ俺は桃井を連れて戻る。」

「ワシもすぐ戻るで。監督にはこのこと伝えんでくれや」


桜井が今どんな状態で、桃井をここにいさせたくない旨を伝えると諏佐が嫌がる桃井を説得し、やっと保健室を後にする気になり諏佐と共に出て行った。一方で今吉は桜井の事情を聞くべく、青峰と保健室に残っている。

あの体育館倉庫で発見したときの様子、あれから目を覚ます兆しは何も無かったこと、等を伝え終わると今吉はいつになく真剣な顔つきで答えた。


「どこの誰がうちの桜井を汚しおったんか分からんが、黙っとくほどワシらも大人やないねん。せやけど取り敢えず監督には他の言い訳で逃れるから、青峰、お前も下手に動くなよ。変に刺激して今度は桃井が…なんて二次被害なんてのは避けたいしなあ」

「分かってるよ」


ほな、ワシも戻るで。校舎閉まるまでに目ぇ覚まさんようやったらおぶって帰りい。そん時はワシらも手伝うで、と最後に言い、今吉も保健室を後にした。


「…分かっとるとは言うたけど、桜井をあんなんにしてうちの青峰怒らせたらどないなるか分からんで。」


廊下を歩きそう呟いた今吉の目は開いていた。まるでこれから起きる未来が恐ろしいと言わんばかりに。




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