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 友達詐欺

前サイトからの転載です。


・友達友達詐欺な蘭臨です。
・友達だろって言われると弱い臨也さんとか可愛いと思うんです。
・波江さんには遠く及びませんが蘭君もなかなか強いみたいです。
・あとがきが長すぎます。





xxx



「折原お前、男もいけるんだよな」

迎え入れるなり蘭君が質問というよりも確認のように問い掛けてきた。なんでそんなことを聞かれたのか分からない。

「…どこ情報?」
「内緒。な、どうなんだよ?」
「………いけるもなにも、試したことがないからな…」

え?とサングラス越しに丸まった蘭君の目が見える。え?って言われてもな…と首を傾げて、っていうかなにを真面目に答えてるんだと自分にツッコミをいれる。

「ないんだ?」
「…ふつうなくない?いや、あってもいいとは思うんだけどさ…蘭君いけるの?」
「俺は女にしか興味ねーよ」
「あ、そう。で、何しに来たの?」
「用なんかねーよ。近くまできたからついでに顔見に来た」

オレンジジュースでいい、と言って蘭君が靴を脱ぐ。鍵締めてねとだけ声をかけて冷蔵庫に向かう。どうでもいいけどふつうのうちはオレンジジュースを常備しているものなんだろうか…毎回のようにオレンジジュースをリクエストする蘭君に応えるために買ってあるオレンジ色の缶を見て首を傾げる。最近蘭君がよくうちに来る。それも用もなく唐突に。今日みたいに近くに来たからとかならまだしも、たまに電話してると顔がみたいと言ってやってくることもある。

そして他愛もない、大抵蘭君の誰がむかつくとか今日誰を潰したとか何のテレビが面白いとかいう話に俺が相槌を打って二人でトランプしたりゲームしたりする。だけ。

最初は蘭君は強いけどどこかの喧嘩人形と同じで頭が可愛いからきっと暇なんだなと思ってた。でもそれにしたってわざわざ暇つぶしに俺を選ぶもんかね、と嫌われ者な自分を省みて疑問が強くなる。まあ俺は楽しいからいいんだけど。

「おまたせ」
「折原、いらっしゃいのキスはねーのか?」
「俺が今まで誰かにしてるの見たことある?」
「ねえな。これからしろよ、俺限定で。」
「…………?」

オレンジジュースを手渡して、自分の分のミネラルウォーターをテーブルに置くといきなり腕を引っ張ってそんなことを言われた。蘭君ご乱心

「女にしか興味ないんじゃなかったの?」
「関係ねーよ、友達ならするだろ」
「?……しないだろ」

当然のように言い切る蘭君は今日可愛い頭が更に可愛くなってるみたいだ。広いソファーをわざわざ狭く座って対処方法を考える。確かに友達とは言ったけど、まずあれは俺が一方的に言っただけで承認された覚えがない。

「するっつの。いつするのかと思ってたんだよ、これだから世間知らずは」
「世間は知ってるつもりなんだけど…え、しないよね」

ちゃんとした、なんていうか相手からもそうだと認められた友達、なんて新羅くらいしかいないからよくわからない。新羅はセルティにご執心で俺なんかどうでもいいし、と思うと自信がなくなってきた。

「……するの?」
「俺以外にはすんなよ」
「…する友達としない友達がいるもんなの?」
「他の友達は俺みたいに頻繁に家来ねーだろ?来てたら潰す」

上機嫌に言って蘭君がオレンジジュースの氷を噛み砕く。どうでもいいけど頻繁にきてる自覚あったんだ…

「…よくうちに来る友達にだけ?」
「まぁそんなとこだな。」
「波江は?」
「あの女は秘書だろ、つうかしたら殺されんぞ」
「じゃあ紀田君」
「あのガキは部下。余計なこと考えてねーで俺にだけしてたらいんだよ、友達だろ?」
「…………あれだね、言われるのは微妙だね」

今日の蘭君は嬉しそうだ。だいぶ変だけど。何かいいことでもあったのかもしれない。
はやく、と急かされて意を決して肩に手を添える。男にキスされてもと思うんだけど、やれって言ったのは蘭君だからまぁいいや。
ちゅ、と頬に触れるだけのキスのあとぱち、と蘭君と目が合う。なんか無性に恥ずかしい…離れてミネラルウォーターの入ったグラスを手に取ると蘭君がくくと笑う。

「いらっしゃい」
「おー」
「…今日ご機嫌だね。いいことあった?」

グラスに口づけながら言うとやっと蘭君もオレンジジュースを口にした。

「友達が男を知らなくて安心してんだよ」
「…俺が男なんだけど…?」
「わかんなくていーよ。俺がわかってたら問題ねー」

蘭君はあまりに新羅とタイプが違う。けど、紀田君と帝人君の関係を友達って言うならこれくらいしてるのかも…
わざわざ距離を詰めて肩を抱く蘭君にもたれて疑問を曖昧にする。嫌では、ぜんぜんないし。

「これからも試したりすんなよ、男なんかいけないままでいんだからな」
「しないよ。男なら蘭君だけで十分だし」
「……………おう。」
「?」

「ぎゃっ」
「見なくていい」

いきなり大人しくなるから何事かとのぞき込んだらガッと顔を掴まれた。蘭君手おっきい、シズちゃんみたい

「蘭君横暴…」
「友達なんてこんなもんだっつの。なー俺みてー映画あるんだけど」
「蘭君の奢りなら行く。」
「当然。連れに出させるような男みっともねーだろ」
「だから俺男なんだけど」
「気にすんな。代わりにオレンジジュース切らすなよ」
「ん。」


頷いて、また上機嫌な蘭君に相槌を打つ。

友達ってやっぱりよくわからないけど、うん


(まるで恋人同士みたい)

変なの、と思いながらなんとなくおかしくて口元が緩んだ。




なんていうのが、蘭君の計算通りなんてことは残念ながら俺には知りようがない




end




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