4月20日
しずおの日、静→←臨のはずが謀らずもシズちゃんふるぼっこです。
「し ず お くん」
園児が初めてお友だちの名前を口にしたときのようなひらがな発音でたどたどしく告げられたのがよく知る単語だと、自分の名前だと、気付いた次の瞬間。
たった一度の拍動で血液が爪の先まで循環した。
「…これで、満足?」
首根っこを引っつかんでいるせいで発音のひとつひとつが手のひらを震わせていちいち背筋が痺れる。
いつも通りのやり取りだった。ただ今日は捕まえた。首を掴んで、力を絞めたら殺せる。忌々しい呼び方で自分を呼ぶなと額をつけると臨也が意味のわからないことを言い出して、いま。
「苦しいよ、しずお、はなして」
「っ、変な呼び方してんじゃねぇ!」
「っ…い、!」
ガッ、と思わず力が入った。苦し気に呻く臨也に反射的に手を引く。
「は、…はぁ、…、なにさ、君が名前で呼べって言ったくせに…」
「言ってねぇ!」
さっきまで臨也を縫い付けてた壁を殴って怒鳴ると臨也がじわりと表情を不機嫌なものにする。
あ、やばい
もう何回目かわからない。この顔を、自分はよく知っている。さっき全身に巡った血の気が引くのを感じていると臨也がむっと膨らませていた口を開く。
「……俺シズちゃんのそういうとこがきらい。」
「は…?」
「シズちゃん、言ったくせに…。嘘つきだ、きらい。」
立ち上がって、コートを払って、自分なんて一瞥もしないで臨也が踵を返す。
「二度と呼ばないよ、君なんかだいっきらいだ」
「っ………!」
伸ばした手は捕まえるためじゃなくてすがるためで、それでも空を切った。
ああまた、やってしまった
end
こんなつもりじゃなかったんです。ラブラブさせようとしたはずなのに…。
蛇足は門臨+新でシズちゃんフルボッコ注意願います。
蛇足
「おう臨也、どうしたんだ?機嫌悪いな」
「……きょうへいくん…」
「……は!?」
「きょうへいくん、京平…、今からひま?俺飲みたいんだけど」
「飲み行くのはいいけど、本当にどうしたんだ?」
「……いやなの、愛称で呼んだら怒るのに名前で呼んだら嫌がるの?じゃあ俺なんて呼べばいいの?俺なんかに呼ばれたくないって言いたいの?そんなに俺のこと嫌いなの?」
「…嫌いじゃねぇよ。嫌とも言ってねぇ」
「でも嫌な顔した…ひどいよ」
「びっくりしたんだよ。なんか急に言われると……照れる…」
「…………!」
「…そう悪くとるな。…悪くねぇ、よ」
「………きょうへい…」
「………いざや、」
「「………」」
「た、たしかにちょっと…恥ずかしい…」
「お前はいつも通りだろ?」
「なんか雰囲気が……、…な、なんでもないっ」
「………そうか…」
なでなで
「…あのさ、京平のがいい?」
「……せっかくつけてくれた愛称だろ。たまにで十分だよ、心臓持つ気しねぇしな」
「……もう、これだから俺ドタチンのことだいすき…」
「そりゃあ有難いな」
「…ふふっ、きょーへいっ」
「いーざや」
「だぁいすきっ」
ぎゅっ
「ん…、俺も。」
めり、みしみし……ッ
「っ、っ……!!」
「何してるの君……」
「だっ、あっ」
「臨也のデレスルーとかねぇ…あーあ、腕組んでる。」
「っ…!」
「これ、君と門田君しか出来ないんだからさぁ…」
「…っ、俺、俺が…っ」
「ちゃんと対応してたら言ってもらえたかもねぇ…知らないよ、本当に君は…せっかく愛称なんてつけて貰ってるのに……知らないよ、勝手に後悔してなよ。君のせいでいつも門田君ばっかり…ああもう嫌なものみた…!僕は帰るよ、…っ…このままじゃセルティにも会えない、これだから君は……!知らないっ」
「……しん…、…っ」
「え、新羅?」
「………」
「珍しいね。いっしょに飲もうよ」
「…いいの?」
「?いいよね京平」
「おう。せっかく同じ店居んのにわざわざ分かれて飲むこともねぇだろ」
「ーっ!これだから僕も門田君大好きだよ!」
「はぁ?ドタチンは俺のだしー」
「じゃあ臨也は俺のだよね!」
「新羅もう酔ってんの?」
「っ、…っ……!」
蛇足 おわり
たのしかった。
しずおの日おめでとうございます´`*
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